植民星からエナラ人を載せたヴォイジャーは、彼らの故郷に向かっていた。その見返りとして、技術供与を受けるためである。エナラ人にはテレパシー能力があり、自分の体験したことを相手に伝えられる力があった。そんな中トレスが強烈な夢をみる。最初は恋人との激しい愛を交わす夢だったが、次第にエナラ人の技術開発に反対する人との争いに巻き込まれる夢に変わっていった。誰かがトレスに記憶を植えつけていると感じた彼女は独自の調査をするのだが、それは意外な結末を迎えることとなった。
最初は単なるトレスの恋愛もののバリエーションではないかと思われたストーリー展開は、実は今エピソードの主役であるエナラ人のかつて行なっていた残虐な意見を異にする人々への処刑という、価値観の違いを認めない社会のいびつさを描く社会派ストーリーへと変貌をとげている。ただ、それがトレスの夢で終わってしまっているがために誰にも相手にされないという展開もまたスター・トレックらしいところで、最後のシーンがなければ唯のトレスの思い込みで終わるという話になるところだった。しかしながら、技術の進歩を推進する人たちが、それを反対する人たちを抹殺していたのは、そこまでとは思わないが日本でもありえそうで、なんだか身につまされる物がある。このエピソードが作られたのはもう10何年も前の話だが、今の日本の原発問題と合わせてみると、意外とテーマ的に一致しているように思えるのは気のせいだろうか。「スター・トレック」が優れているのは、こういった普遍性をもったストーリーを持ってくることがよくあると言えるからではないかと思う。
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