今年春からの新型コロナウイルスの影響で、映画館でハリウッドの新作映画が上映されなくなり、一部映画が時々上映されるものの、大したヒットにもならずにいる中、監督であるクリストファー・ノーランの強い意向により、アメリカでの上映より先にヨーロッパやアジアでの上映を開始した、今年夏の大作映画になるはずだった作品が「TENET テネット」である。日本では最初から9月18日公開と決まっていたので、上映延期にもならずに公開されたが、劇場によって観客の収容人数に違いがあり、僕が見たユナイテッド・シネマ系列の映画館は、前後左右を空席にする市松模様での上映を継続して行われている。久々の大作および新作映画ということもあって、チケットの争奪も予期されたが、チケットは完売はせず、若干数の空席があった。話の内容は、クリストファー・ノーラン監督お得意の時間をテーマにしたもので、第三次世界大戦を阻止するために、時間を逆行して戦いを挑む名もなき男の姿を描く物語になっている。通常の時間の流れと逆行する時間の流れが渾然一体となって物語が進むので、注意深く見ていないと話がわからなくなってしまう。特に前半は主人公ですら時間の概念がわかっていないので、観客はともすれば置いてきぼりを喰らう恐れはある。それでも、IMAXフィルムで撮影されたクリアで巨大な画面と、音量の大きくサラウンドが効果的な音響を楽しむだけでも、映画を楽しめる要素になっている。時間の逆行シーンはおそらくフィルムの逆回しだと思うが、それでも登場キャラが不自然にならないような演技をしているので、不思議な映像が存分に楽しめる。この作品こそはIMAXシアターの大画面で見るべき内容だと思うし、ヒットすることを期待したい。
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