映画「タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター」(IMAX 3D/ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13)

1997年に公開され、一大社会現象を引き起こしたジェームズ・キャメロン監督の代表作であり、同年のアカデミー賞で作品賞を含む11部門を制するという快挙を成し遂げた作品が、この「タイタニック」である。過去にもリバイバル上映は行われているが、3D版は2012年に一度公開されていて、その時に発売されたBlu-ray 3Dは手元にあるので、3D用のマスターデータ自体は2012年には一旦出来ており、それを元にリマスターを施した新たな4Kデジタルマスターを制作したのではないかと思っている。

「タイタニック」は1998年の夏頃、東京・渋谷の東宝の旗艦館である渋東シネタワーで見た記憶はある。当時は、「ジェームズ・キャメロンがロミオとジュリエットのタイタニック版を作るなんて、期待外れだ。キャメロンならば、もっと群像劇を作れるはずだ」と思っていて、渋東シネタワーの音響効果もあまり褒められたものではなかったので、作品に対する評価はあまり個人的には高いとは言えなかった。個人的には「ターミネーター2」がジェームズ・キャメロンの最高傑作と思っていたぐらいなので。それでも、「タイタニック」は輸入盤レーザーディスクを買い、輸入盤Blu-ray 3Dも買って所有はしているが、記憶に残る限りでは輸入盤レーザーディスクで映画を再見して以来、見ていないので、20数年ぶりにこの映画を見ることなった。

ちょうど、ジェームズ・キャメロン監督の「アバター:ジェームズ・キャメロン3Dリマスター」のリバイバル上映と「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」のロードショー公開と続き、「タイタニック」も「タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター」としてリバイバル公開されるので、以前の期待外れと思ったこの作品をもう一回見返して作品の出来を再確認してみようと、映画館に見に行く気になった。配給会社のディズニーが4K UHD Blu-rayのリリースに消極的、という噂をネットで見たことも関係している。ホームシアターでは見られない可能性もなくはないからである。

見に行く気にはなったものの、再上映開始日近辺の上映館と上映開始時間のタイミングの悪さに「これでは見に行けないな」と思い、一旦は劇場に鑑賞に行くことは断念していた。しかし、口コミなのか、リバイバル上映なのに客足がかなり多く、次第に上映館が通常シアターからDOLBY CINEMAシアターやIMAXレーザーシアターに拡大していき、そして、上映最終日である23日は、上映開始時間も比較的都合の良い時間に変更になったので、意を決してチケットを予約し、劇場に鑑賞しに行くことができた。僕が見に行ったのはIMAXレーザーシアターである。なお、IMAXレーザーシアターに限らないが、見に行った23日の前日で既にどこの映画館もチケットは完売状態になっていた。

場内で客層を見ていたが、結構若い世代が鑑賞に来ていると感じた。アベックや女性二人連れというパターンが多い。1人で見に来る観客はわずか、といったところで、実際映画が終わって、場内見回したら、若い世代ばかりで、中年以上の客はほとんどいなかったので、唖然としたが、ヒットする映画とはこういうことか、とは思った。

で映画の出来だが、20数年ぶりの再見ということもあるのだが、IMAXレーザーシアターで鑑賞したこともあり、かなり作品から受ける印象が異なっていた。1998年に見た時には、「ロミオとジュリエット」の「タイタニック」版という意識が先にあって、その先入観で見ていたような気がする。今回、頭を空っぽにして見た印象では、主人公はローズただ1人であり、ローズと恋に落ちるジャックも一応主人公扱いは受けているものの、あくまで、男性社会の中で古いしきたりに縛られていたローズがジャックの導きの元、精神的に解放され、自由の身になる自立の物語として見ていた気がする。ジャックも主人公というよりローズを導くメンターの存在のような気がする。2人のラブストーリーがメインの話なので、主人公はジャックとローズなのだが、僕の視点ではローズただ1人が主人公の映画であると見えた。

1998年の時に思った「群像劇になっていない」という部分は、一部当たっている。前半のジャックとローズが恋愛を深めていく展開で、彼らを取り巻く脇役の出番がほとんどないからである。脇役にも二段レベルの差があって、キャルやローズの母親、船長やアンドリューといった脇役は前半でもそれなりの出番はある。でも、ジャックの仲間や三等乗船客などの脇役レベル、一等乗船客でもキャルやモリーレベルじゃないキャラは、結構おざなりな描き方である。後半のタイタニック沈没シーンで、彼らにもスポットライトが当たり、悲劇的な死を遂げていくシーンが描写されるが、前半で少しだけ描いた後、放置状態になっているので、「誰だっけ、この人?」になりがちである。

前半からずっとジャックとローズのラブストーリーは継続してはいるが、中盤以降タイタニックが沈んでいくシーンになると、かなりパニック映画の要素も強くなる。中盤以降はジャックとローズ以外の群衆にも焦点が当たっていくため、作品のテンポがまるで違っている。一粒で二度美味しい映画になっていて、3時間14分という長い上映時間も全くその長さを感じさせることなく、最後まで一気に見られたのは、意外だった。見る前は途中でだれるかと思ったので、ここまで一気に見せる映画だったとは、と意外に感じていた。

映像はIMAXに最適化された映像に仕上がっているが、残念なことにシネスコサイズなので、IMAXのスクリーンの上下は終始黒いままである。ただ、3D効果は素晴らしく、映像に没入する感覚を味わえる。HFR上映のため、4K解像度ではなく、2K解像度に落ちているが、映像的に不満は感じなかった。十分精細な映像だったと思う。肝心のHFRはどのシーンかははっきりとはわからなかったが、多分水中のシーンなど水にまつわるシーンは、「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」と同じくHFRになっていると思う。

音響は、ネットの情報だと6トラックのサラウンドということなのだが、少なくとも僕を失望させた渋東シネタワーの館内に充満しなかったサラウンドと比較すると、十分館内に広がる効果的なサラウンドを形成していて、迫力も桁違いであり、満足いくものであった。自分の頭上で音が鳴っているシーンもあったので、6トラックではなく、12トラックかもという気もするが、エンドクレジットでも紹介はないので、真相はわからない。

20数年ぶりの再見となった「タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター」であるが、作品の印象がガラリと変わり、確かに評価すべき作品であると昔の思い込みを変えるぐらい出来のいい作品だったと思う。「ターミネーター2」と肩を並べるぐらい僕の中で評価は上がったと思う。「ターミネーター2」に対する思い入れはかなり強いので、逆転するところまではいかないが。

「タイタニック」ポスター

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