「ダークナイト」トリロジーや、「インセプション」、「インターステラー」などで知名度を上げ、作品の評価も高いクリストファー・ノーランが、初めて史実に基づく映画を作ったのが、この「ダンケルク」である。第二次世界大戦のフランスのダンケルクで、ドイツ軍に追い詰められた連合国軍は、軍のみならず、民間人の力を借りて、史上最大の撤退任務を行う、というストーリーである。物語は3つのパートが交互に描き出されることになる。退却をただ待つだけの陸軍の1週間、救出活動に駆り出された民間船の1日、ドイツ空軍とドッグファイトをするイギリスの飛行機の活躍を描く1時間。これら3つのエピソードが複雑にからまり合い、物語を構成して行くことになる。他の監督とは違い、俳優への感情移入を極力無くし、ただ事実だけを積み重ねて行く手法は、かなりテンションの高い手法といえる。また、106分の上映時間のうち、75%はフィルム版IMAXで撮影されているため、上下が見切れてしまうIMAX DIGITALでも、映像の解像度とともに、映像への没頭感は半端ないものになっている。音響効果も、ハンス・ジマーのサントラが絶えず不協和音をかなりたて、重低音が絶えず唸るという、とんでもない音響になっている。予算と時間に余裕があれば、日本では唯一IMAXフィルムの画角で上映される109シネマズ大阪エキスポシティで見たいところだが、IMAX DIGITALの上映館でも、迫力は十分である。通常の劇場では、この映画の本質は体感できないと思うので、IMAXシアターで見ることが必須である。
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