佐野元春 & THE COYOTE BAND、アルバム「今、何処」を聞いての感想

2022年7月6日は、佐野元春 & THE COYOTE BANDのニューアルバム「今、何処」の発売日である。僕はSONY MUSIC SHOPで予約注文をしていたため、発売日の前日である7月5日の朝にデラックス・エディションが届いた。発売前日にCDが届いたので、早速試聴しての感想を書きたいと思う。

まず、ジャケットである。不思議なジャケットになっている。「Blood Moon」も「Maniju」もそうであったが、今回の「今、何処」は、テーブルに人が座り、その人の頭は紙のなんかアイデアみたいな物で覆い隠されているのである。このジャケットは、かなりインパクトがある。

アルバムは14曲収録だが、6月にYouTubeで公開されたトレイラーの印象からアルバムを予想すると、いい意味で裏切られる。YouTubeのトレイラーは、「銀の月」、「さよならメランコリア」、「クロエ」、「水のように」のハイライトシーンで構成されているので、もっと全般的に重たいアルバムになるのかなと思ったが、今日、アルバムを通して聞いてみて、アグレッシヴな曲が並び、怒濤の如く曲が奏でられている。また、詩がポストコロナを見据えたかのような、リスナーに応援を送っているかのような印象も受ける。

アルバムは、「OPENING」から始まるが、ラストの「今、何処」がENDINGの役割を果たしていて、佐野元春のいう「コンセプトアルバム」としての体裁が整えられていると思う。また、英語タイトルが秀逸で、「冬の雑踏」の英語タイトルは「WHERE ARE YOU NOW」、「今、何処」の英語タイトルは「WHERE ARE WE NOW」とかなり捻ってある。

今回、THE COYOTE BANDによるコーラスワークも冴えていて、彼らのコーラスも魅力の一つである。佐野元春のボーカルにTHE COYOTE BANDのコーラスが、魅力的な曲作りに生かされていると思う。

佐野元春は「これまでのアルバムで最高傑作である」と言っているが、その言葉に間違いのないアルバムに仕上がっていると思う。アルバムの中では、「銀の月」がデジタル配信で先行リリースされているが、その他にも2019年の地方ライブ「ソウルボーイへの伝言2019」で披露された「斜陽」や、イベントでのみ発表されている「エデンの海」など、聞き応えのある曲が目白押しである。

個人的には、「ENTERTAINMENT!」も出来の良いアルバムだったが、この「今、何処」の方がさらに出来のいいアルバムに仕上がっていると思う。しばらくこのアルバムのヘビーローテーションが続きそうである。

なお、余談だが、プロデュースが「MOTO ‘JET’ SANO」名義になっているのは、ファンなら笑えるところである。ダウンタウンのバラエティ番組にゲスト出演した佐野元春が、「佐野元春から改名したい」という話から「どんな名前にしたいのですか」というダウンタウンの質問に対し、「隼ジェット」と答えて爆笑したエピソードがあり、それを受けての今回の名義になっているからである。この辺は、佐野元春のユーモアを感じる。

DVDを見ての感想

デラックス・エディションの特典の一つである、ミュージック・ビデオとTHE COYOTE BANDのインタビューを収録したDVDも先ほど鑑賞した。ミュージック・ビデオは「ENTERTAINMENT!」から5曲、「今、何処」から4曲を収録しているが、半分の曲はYouTubeで既に公開されているものである。ただ、YouTubeで公開されているミュージック・ビデオでも、今回のDVD化に当たり、一部編集し直している曲もあったりするので、結構このDVDを見るのは新鮮に感じる。THE COYOTE BANDのメンバーのインタビューも興味深い内容で、大変面白く鑑賞させていただいた。個人的には、なぜ、DVDなのよ? という気もする。今の時代だとBlu-rayじゃないの? と思っているが、生産コストとか、ファン層の関係からDVDにしたのだと考えている。ただ、4Kテレビと4K Blu-rayプレイヤーで鑑賞したところ、アップコンバート機能が働いているのか、思ったほど解像度の劣化は見られなかった。曲によっては暗部にブロックノイズが見られるが、あまり気にするほどのことでもない。でも、やはりここはBlu-rayで収録してほしかったのが本音ではある。

コメント

タイトルとURLをコピーしました