下川裕治著「週末アジアでちょっと幸せ」朝日文庫

下川裕治の著作物はこれまでも何冊か読んできて、その度にこのブログに感想を書いてきたかと思う。今作「週末アジアでちょっと幸せ」は、ここ何年か続く「週末」シリーズのおそらく最初の著作物になるのではないか、と思う。アジアとフォーカスを絞っているので、韓国、台湾、マレーシア、シンガポール、中国、沖縄、ベトナム、バンコクという各国、地域に週末金曜、あるいは土曜に日本を発ち、日曜の夜、あるいは月曜早朝に日本に帰ってくるという旅の提案をしている。とは言ってもそこはアジアに慣れた下川裕治の書くことだから、単なる観光名所には行かない。どこか旅慣れた人向けに変わった旅があるよ、と提案をしている。変わった旅と言っても普通に生活している人にとって、変わっているというだけであって、多分下川裕治やその読者にとっては、そんなに変な旅でもないと思う。ただ、パッケージツアーでは行かないところに行く、というだけである。それには離島だったり、国境越えだったり、運河を巡る旅だったり、と様々であるが、読んでいて、自分もそこに居合わせているかのような気分になってくるから、面白い。旅行好きには、1度目を通していても損のない本である。

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