レビューの詳細は、TO DIE FOR(4K UHD Blu-ray/CRITERION)|誘う女|輸入盤DVDで観た映画のレビューを参照のこと。
この作品、1995年当時、輸入盤レーザーディスクを購入し、見た記憶がある。ニコール・キッドマンの美貌とそれと裏腹に野望に燃える姿に印象深かった記憶があるが、レーザーディスク以降、ディスクメディアで購入する機会がなく、そのレーザーディスクも処分してしまったので、見る機会が失われていた。
それが、なんと世界中のビデオコレクターが注目するクライテリオン・コレクションの一つとして4K UHD Blu-ray化されると聞いたので、久しぶりに購入してこの「誘う女」を再見したいと思い、手に入れたのが5月か6月ごろ。それを今日、視聴したのである。
輸入盤レーザーディスクで見た時には、英語力が大してなかったのも災いし、ストーリーの把握があまりできておらず、そんなに面白い作品とは思っていなかった。しかし、今回、4K UHD Blu-rayで視聴した時には、英語力が30年前から比べれば上がっているし、映画の見方もわかっているつもりなので、結構面白い映画だと感じた。
物語自体はニコール・キッドマン演じるスザンヌという女性が有名になるために様々な手段を講じて成り上がっていく、という展開であるが、1995年当時はスーパースターのトム・クルーズの妻であるという以外は注目を集めなかったニコール・キッドマンの演技の本性とかが垣間見えるものであり、現在の演技派女優としての名声を得ているのを知るにつれ、この映画あたりがキッドマンのターニングポイントになっているのではないかと思う。
また、脇を固める俳優もホアキン・フェニックスとか、マット・ディロンとか通な俳優を配置しているのも肝であり、特に今は名優になっているホアキン・フェニックスの若き日々の演技を見るだけでも楽しいポイントである。
映画そのものも、マスメディアで有名になりたいという強い欲求を抱えたスザンヌの成り上がり人生を描いたものであり、1995年当時はテレビや映画でしか叶えられなかったものが、2024年だとYouTubeあたりでも叶えられそうではあるが、そのためにはかなり犠牲にしなくてはならないものがあるという点で、共通するメディア批判があるのではないかと思う。
映像は信頼のクライテリオン・コレクションなので、35mmフィルムの解像度限界まで迫る4K/DOLBY VISIONの映像は素晴らしいものがある。映像の鮮やかさは一見するものがある。また、音声もdts-HD MA 5.1chサラウンドであるが、サラウンドチャンネルを積極的に使っているので、映像に没入できる環境を構築している。ジャケットによれば、監督のガス・ヴァン・サントと撮影監督のエリック・アラン・エドワーズの監修を受けてディスク化しているとのことなので、その映像の質はお墨付きである。
クライテリオン・コレクションからのリリースなので、日本で日本語字幕、吹き替え音声付きのディスクが出る可能性はほぼないが、英語が多少なりともできる人ならば、コレクションして、鑑賞をお勧めする作品である。
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