シャノン・リー著「友よ、水になれ 父ブルース・リーの哲学」亜紀書房

 ブルース・リーといえば、アクションスターとして死後50年近く経っても、人気のある人である。彼が残した映画は今でも人気作品である。しかし、ブルース・リーがアクションスターであり、総合格闘家である、という認識を持っている人は多くても、人生の哲学者であったという事実はほとんどの人が知らないだろう。今回読破した「友よ、水になれ 父ブルース・リーの哲学」は、ブルース・リーの実の娘であるシャノン・リーが、ブルース・リーの残した書類や研究物を紐解き、人生哲学についてブルース・リーに代わって解説している本である。その内容は、実は精神科医、樺沢紫苑が解説している健康でいられるための精神構造と、似ているところが多々ある。人生を水に喩え、無の境地になることが人生の成功に近づく一歩であるとか、様々な哲学が実の娘によって解説されているので、映画を見た後にこの本を読むと、ブルース・リーが言いたかったことがわかるようになっている。シャノン・リー自身もブルース・リーの教えを守って生活しているようだが、彼女も未だ境地に達しているわけでもない。それでも、ブルース・リーの人生哲学を解説してくれているおかげで、ブルース・リーの思想がわかりやすくなっている。ブルース・リー・ファンの人ならば、一度は目を通すべき書籍であると言ってもいいだろう。