僕は2012年に韓国に旅行に行っている。それは、近いというのと、北朝鮮との軍事境界線、板門店を見たいという理由からであった。その後、韓国と日本の関係悪化に伴い、韓国の被害者意識の強さに辟易していたのであるが、そんな時、本屋で見かけたのがこの「北朝鮮の楽しい歩き方」である。鄭 銀淑編となっているのは、この人が北朝鮮に行ったわけではなく、この人と仕事の関係のある日本人が北朝鮮へのツアー旅行に参加することになったため、その人にレポートを取ってもらい、それをまとめた形になっているからである。北朝鮮といえば、日本的には拉致被害者の問題だとか、国際的には核の勝手な保有など、訳のわからない国としての認識が強いが、その実態はよくわかっていなかったと思う。この本では、北朝鮮をツアーで観光するという形で、北朝鮮の実態の一端が明かされることで、その辺の難問に対して突っ込んだ内容になっていると思う。ツアーと言っても自由時間はないし、決められた店やホテル、観光施設しか見られないという制約がいろいろあるし、北朝鮮を「朝鮮」と呼ぶようにという通達など、結構厳しい展開もあるが、謎の国の普通の生活の一端が明かされるのは目から鱗である。旅行新書としては、面白い内容ではないかと思う。
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