スティーグ・ラーソン「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女[下]」ハヤカワ・ミステリ文庫

かなり長編な「ミレニアム」シリーズの第1章「ドラゴン・タトゥーの女」の後半部がこの本であるが、前半部でかなり丹念に人物描写をしていたせいもあってか、後半では事件の核心にどんどん進んでいくように感じる。それでも主人公ミカエルとタッグを組むことになるドラゴン・タトゥーの女ことリスベットの過去にはまだまだ色々ありそうである。それはどうも第2章、3章で描かれるらしい。その辺の曖昧さはあるものの、第1章の物語としては、主人公の立場の逆転、主人公が出来るとは思っていなかった事件の真相を明かす場面、ミカエルとリスベットの名コンビの誕生と見所は多い。特に事件の真相が明らかにされた後の、上巻冒頭での主人公の逆境を覆す場面は胸がスカッとする。映画化されるのも無理はないと思わせる作品である。

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