レビューの詳細は、チェリー(4K UHD/Apple TV+)/Apple TVで観た映画のレビューを参照のこと。マーベル・シネマティック・ユニバースでもコンビを組んだアンソニー&ジョー・ルッソ監督とトム・ホランドが、ニコ・ウォーカーという退役軍人が自身の体験をもとに書いた小説「チェリー」を実写映画化したのが、この「チェリー」である。映画とはいうものの、劇場公開はされておらず、Apple TV+の話題作として配信公開された作品である。残念なことに批評家評価は低く、観客評価も水準並みという結果に終わっているが、個人的には余韻が残る作品であると思っている。物語はチェリーという若者が恋人であるエミリーがカナダに行くと言ったことから軍に入り、イラク戦争を衛生兵として2年過ごし、退役後にPTSDで苦しんだ末に薬物に手を出し、その薬物を買うために銀行強盗まで行ってしまうという、転落の人生を描いたものになっている。主人公の転落人生を描きながら、その描写は驚くほど冷静である。どこか突き放した感じでチェリーの転落人生を描いているように思える。そのためか、物語は結構長く感じられるが、全部で7章からなる物語は、エピローグの最後で多少救いの手を差し伸べているかのような演出で終わりを迎え、チェリーの第二の人生が始まる予感を感じさせるものになっている。映像はApple TV+では4K/DOLBY VISIONで提供されているので、高精細な映像かつ、高コントラストの映像が楽しめる。また、物語大半は2.39:1のアスペクト比なのだが、チェリーが軍の基礎訓練をしているシーンだけは1.50:1のアスペクト比に変わっていて、インパクトを与えるものになっている。音響はDOLBY ATMOSで提供されていて、イマーシヴなサラウンドを楽しむことができる。特にチェリーがイラク戦争で遭遇した戦闘シーンのサラウンド感は抜群である。
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