H.G.ウエルズの代表作「タイム・マシン」の直接の続編にあたる作品。「タイム・マシン」刊行100年を記念して、ウエルズの遺族の了解のもと、公式に続編として認定された小説である。ストーリーは、主人公が「タイム・マシン」で行った未来から1891年のロンドンに戻ってきて、再び未来へ旅立つが、タイム・マシンで時間を超えるごとに歴史が改変されてしまい、それを回避するために、主人公は未来から過去へ、過去から未来へ、と様々に旅立つことになる、というものである。主人公が改変する時間によって、イギリスは戦争をしたり、その戦争が過去へと影響を及ぼして、新しい人類の始まりを生み出したりと、けっこう面白い展開になっている。もちろん、改変された歴史は、最終的にはある一点に収束するのであるが、そこに行く過程が、複雑で、さすがSF、と言いたくなるような展開に唸らされる。SFではあるが、内容は以外と平易で、読みやすい。ただ、ストーリーは長い。700ページ以上あり、本の値段も1600円(税抜き)と文庫本にしては高額である。「タイム・マシン」は読んだことはないが、それでも話としては成立しているので、これだけ読んでもストーリーは理解できる。できれば「タイム・マシン」を読んでからの方が、より理解しやすいだろう。
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