未だに人気を誇るTVシリーズ「機動戦士Zガンダム」の第1話から第14話までを再編集し、一本の映画としてまとめたのが、この「機動戦士Zガンダム A New Tranlation 星を継ぐ者」である。ストリーの大まかな流れはTVシリーズと変わっていなくて、地球に住む人々と宇宙のスペースコロニーに住む人々との確執は続き、それぞれティターンズとエゥーゴという組織を作り出し、内部抗争を開始させ、その中でカミーユ・ビダンがエゥーゴに加担して戦いに挑むという展開そのものは同じである。しかし、TVシリーズでやけに気になるカミーユをはじめとするキャラ全般のギスギスした性格は、比較的素直な性格に皆改められ、その点で物語の雰囲気そのものは大幅に変わっている。TVシリーズ14話分を95分というかなり短い時間に圧縮するために、TVで描かれたエピソードが、台詞で説明されたりして、注意して見ないと分かりづらいものがある。もともとTVシリーズも話が混乱しやすい設定だったので、その辺はあまり変わっていないかもしれない。制作費の関係と、富野監督の意向により、もともとTVシリーズで使った16mmフィルムを35mmフィルムにブローアップし、さらにスタンダードサイズをビスタサイズにトリミングしている関係上、映像の質はかなり悪い。フィルムの粒子がかなり大きく出てしまっている。物語展開に合わせて作画された新作画は、16mmのフィルムの粒子に合わせて、あえてノイズを乗せているが、それでも16mmのオリジナル画と新作画の差は歴然としている。ただし物語に没頭していると、その辺は次第にあまり気にならなくなる。音響は劇場でのDOLBY DIGITAL 5.1chをロスレスのDOLBY TRUE HDに変換されているので、高音質で楽しめる。サラウンド感はアニメにしてはかなり自然で、極端なサラウンド感はないものの、ちゃんと要所要所で効果を発揮している。
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