人気ミステリーシリーズ「珈琲店タレーランの事件簿」シリーズの第4弾。今回は、長編ではなく、短編での構成になっている。そしてその短編の特徴として、舞台がタレーランになっていないことが多いのである。物語それぞれにタレーランのバリスタ美星や、オーナーの藻川氏、アオヤマが関与してくるが、元々の主人公側であるこれらの人物が主役になることは少なく、主役は別に用意されていることが多い。なので最初タレーランの主人公たちの視点でうっかり読んだりすると、物語の意外な展開に驚かされることも多い。それでも、その辺のカラクリが分かると、ストーリーは意外とあっさりしているところが多い。登場キャラにも美星の妹、美空が出てきたり、タレーランで飼っている猫、シャルルが関与したりと、これまで読んできた読者にはちょっと嬉しい配役をしていると思う。「純喫茶タレーランの庭で」は、第1作の事件の元になった話のちょっとした補足になっていて、その辺も面白いと思う。ただ、全般的にはタレーランの話でなくてもいいような印象は強い。作者もそろそろ別の話を書きたいのではないかと思う。
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