映画「伝説巨神イデオン 発動篇」(Blu-ray)

あらすじ

ソロシップを包囲するバッフ・クランの攻撃は止むことがなかった。カララは、ベスの子供を身ごもり、それがイデの力によって、父であるドバ総司令の元に運ばせる原動力になる。イデはカララとドバの和解による最後のチャンスを与えたのである。しかし、異星人の子供を身ごもったカララに対しドバは激怒し、最後のチャンスは失われる。そして、ソロシップのクルーと、バッフ・クラン両方が次第に殲滅戦になり、カララを始めとして、次々に人々は死んでいく。そして最後まで生き残ったコスモも、バッフ・クランの最終兵器によって死亡する。死んだ面々は、魂となってカララの子供メシアの導きの元、新たな惑星に飛び、輪廻転生が行われる。

感想

テレビシリーズ第39話のラスト2分で描かれたイデの発動を99分という時間の中できちんと描いた真の最終回がこの「発動篇」である。物語冒頭は「接触篇」で描かれなかったキッチ・キッチンとコスモの出会いと別れ、ギジェとシェリルの恋愛とギジェの死、そしてカララがドバの元に行くテレビシリーズでも描かれたエピソードをあえて配置し、物語が分かりやすいように、配慮がされている。その後は精神に異常をきたし、パイパー・ルゥをイデの力の発現に使おうとしたシェリルの最後をはじめとし、次々に登場人物の死が描かれているが、結局はイデの力は、カララとベスの子供、メシアの存在を許せなかったドバ総司令と、カララの姉、ハルルの極めて人間臭い憎しみが、双方を滅ぼす要素になったことは否めない。テレビシリーズだったら描かれないであろう登場人物の死の凄惨さは、映画版だからできたことであると言える。物語自体もグイグイとクライマックスに向けて疾走していくので、富野由悠季監督のそのストーリーテリングが、開花していると思う。ラストの輪廻転生のシーンは、結構突き放した感はあるが、これがなかったら救いのないストーリーで終わっていたと思うので、最後に少しだけ希望を持たせたものになっていると思う。

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