女王マリアをタシロに連れ去られ、統治する者のいなくなったエンジェル・ハイロウにシャクティが平和の祈りを込めて作動させることになった。しかしエンジェル・ハイロウは人々に平和を呼び起こさせるものではなく、人々を眠りにつかせ、そのまま死に至らしめる究極の殺人兵器だった。そのエンジェル・ハイロウが作動する中、ウッソはファラ相手に苦戦を強いられていたが、マーベットの助けを得て、ファラを倒すことに成功する。一方ウッソの父は女王マリアの乗る船に接近をし、事態の打開を図ろうとする。
ここに来て物語が佳境に入っていく中、ようやくニュータイプ的な描写が多くなってきていると思う。しかし、これまでのガンダムと同様、ニュータイプが人々の和解を得るものではなく、戦争の道具としてしか利用されないのは、見ていて寂しい物がある。希望ではなく絶望に偏った形のニュータイプなどはZガンダムだけで十分だと思う。ただ、今回はマーベットのお腹の中にいる赤ちゃんの力が発揮されているということで、多少はまだ希望を見いだせるし、女王マリアの祈りがリガ・ミリティアの少年少女たちにのみ伝わっていくというのも一種の希望のようなものであろうと思う。富野監督の作る作品は、ブレンパワード以降殺伐とした雰囲気がなくなっていくが、今作はまだその殺伐さがあるような気がする。それがニュータイプの絶望感と同じものなのが辛いところである。
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