沖縄ブームの影響を受けて、本土からの沖縄を紹介した本が沢山発売されていたが、それらは大半が下川裕治、仲村清司といった沖縄フリークたちの手によるものが大きかった。この本はその手の作者と違い、斎藤潤というフリーランスのライターが沖縄や奄美といった離島の紀行物を書いているのが特徴である。ただし、この本が書かれたのは2005年。売れなかったのか、2011年に購入した時も初版のままだった。サイズとしては光文社新書の新書判、243ページと読みやすい。紀行ものということで、島々の旅の様子が書かれているのが特徴で、これまでの沖縄本と違い、文化や食については書かれていない。島の生活や、風景が淡々と書かれているものである。ただその中でも波照間島の幻の泡盛「泡波」に関する文章があったりと、島に寄り添うように書かれているところは、好感が持てる。沖縄本では対象外になりがちな奄美諸島について書かれているのも新鮮な印象を与える。もちろん、大東島についてもである。そういった意味では、少し珍しい本であると言えるのではないかと思う。
コメント