スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド シーズン2第3話「明日、明日、そして明日」(Paramount+/WOWOWオンデマンド)

あらすじ

ラアンはエンタープライズの規律を守らせるのに手一杯で、疲弊していた。しかも、彼女の先祖のせいで、彼女と親しくなるものも少なく、孤独を感じていた。

そのラアンはエンタープライズに突然現れた、負傷した男性を見つける。男性は背広を着ていて、拳銃で撃たれた跡があり、ラアンに後を託して死んでしまう。

ラアンは事情もわからないまま、男性が持っていたデバイスを受け取るのだったが、そのデバイスのせいで時間軸が変わっていた。ブリッジに行くと、艦長はジェームズ・T・カークであり、惑星連邦は存在していなくてバルカンやロミュランと戦争を行っていた。

カークに事情を話すラアンだったが、カークはそれを信じなかった。ラアンの持っていたデバイスを調べようとするとデバイスが動作してしまい、ラアンとカークは21世紀半ばのトロントに時間移動してしまう。そして、二人は帰れなくなった。

21世紀半ばのトロントの街に溶け込みながら二人は時間の流れが変わった原因を突き止めようとするのだったが、トロントの橋が爆破され、その破片から光子爆弾の痕跡を見つけるのだった。異星人によるものと判断した二人は破片の詳細を突き止めようと追いかけるのだったが、交通違反のために警察に捕まる。しかし、一人の女性によって解放される。

その女性は政府が隠している情報を公開すべく、いろいろ発信している人で、彼女の持っていた写真の中にはロミュラン・バード・オブ・プレイの写真もあった。時間軸が変わった原因がロミュランにあることを察知した二人は、ラアンがエンタープライズの規律を守らせるために指導していたペリアがこの時代に生きていることを思い出し、彼女の元に行って、トリチウムを検出する時計を譲り受ける。

トロントでは核融合炉の実験を密かに行っていて、歴史ではこの核融合炉が破壊されることになっていた。トロントのどこにあるかがわからない二人だったが、ペリアから入手したトリチウム検出の時計によって、場所を特定する。ラアンとカークは互いに親しくなり、変わってしまった歴史を戻すべく核融合炉のある場所に赴くのだったが、そこで意外な事実が判明する。

感想

今回の話はタイムトラベル物なのだが、登場人物がラアンとゲスト出演の別の時間軸に存在するジェームズ・T・カークという意外なコンビで物語が進んでいくので、ユニークである。パイクやスポックは顔見せ程度の出演なので、実質主人公はラアンと言ってもいい。

話は歴史の書き変わった世界を元に戻すべく、21世紀のトロントに偶然タイムトラベルしてしまったラアンとカークが次第に友情を深めながら歴史を元に戻す取り組みをしていく、というものだが、それにロミュランやラアンの先祖であるカーン・ヌニエン・シンが絡んでくるので、想定外の展開になっていて、興味深い。

ラアンの先祖の存在のせいで抱えている孤独感もこの物語ではよく現れていて、ラアンと違う時間軸にいるカークはラアンの先祖のことを知らないからラアンと深く付き合うようになっていく展開も、ラアンの孤独感を癒す運びになっている。そのため、ラストは再びラアンの孤独感が浮き彫りになる印象が強い。

21世紀半ばのトロントの世界は、正規の時間軸とは違う流れのようで、本来その時間には存在しないはずのキャラが実は存在していて、それが敵の狙いであったところも、面白い設定である。ラアンの戸惑いもそこに存在する。

本来の時間軸ではエンタープライズの艦長にはなっていないカークが、ラアンと協力して時間軸を元に戻していく様は、ユーモアに溢れている。彼の陽気さがラアンを救っている。

ありがちなタイムトラベルものではあるが、スター・トレックの歴史を破壊しない程度に物語が仕上がっているので、楽しめるエピソードである。

コメント

タイトルとURLをコピーしました