映画「シビル・ウォー アメリカ最後の日」(IMAXレーザーGT 2D/グランドシネマサンシャイン)

この映画、「シビル・ウォー アメリカ最後の日」は、既に輸入盤4K UHD Blu-rayで鑑賞している。しかし、ネット上で話題になっていることもあり、IMAXレーザーGTを導入している東京、池袋のグランドシネマサンシャインで改めて鑑賞したいとは思っていた。

ただ、母がこの世を去ってまだ1週間という忌中の中、映画館に映画を見に行くのがいいのかどうかがわからなかった。ネットやChatGPTで調べると、割とまちまち。映画を見に行くことは避けましょうと書いてあるサイトもあれば、映画を見ることは問題ないでしょうと書いてあるサイトもある。結局は個人や親族の考え方次第のようである。母を失った悲しみはあるが、塞ぎ込んでいても仕方ないだろうと思って、意識的に映画館に足を向けた。

内容は、既に輸入盤4K UHD Blu-rayで見ているので知ってはいたが、IMAXレーザーGTの巨大画面と爆音サウンドで見るこの映画は、また別の視点を与えてくれる。ものすごい虚無感を感じさせる内容なのである。輸入盤4K UHD Blu-rayで見た時には感じなかったものである。母の死が影響しているのかもしれないが、ここまで救いのない映画とは思いもしなかった。

映画の中でBGMがあまり使われていないことも理由の一つであるが、主人公のリーの心境の変化がかなり刹那的になっていく過程は、見ていて辛いものがある。ジャーナリズムとしてただ記録していくだけのリーが、仲間を失い、国家を失っていく過程を見るのは、心を無くしていくようなものである。

その分、駆け出しの写真ジャーナリストであったジェシーがクライマックスで一人前のジャーナリストになっているところは、ジェシーの成長物語と取ることもできる。最初は何もできなかったジェシーが、最後には決定的瞬間をフィルムに収める様は、リーの代わりにジャーナリズムを体現しているかのようである。

アメリカの分断というあり得ないようであり得る話は、絶望的な内容である。ラストは一件落着にはなっていない。このラストでいいのか? と観客に問いかけている終わり方である。

また、映画で話題になっていた軍人がリーたちに対して、「どのアメリカ人だ?」と生まれを聞くシーンはかなり怖い。出身地によって人種を差別するその姿勢は、本来ならば問題行為なのだが、この映画の中の世界ではそれがまかり通っているところにその怖さがある。

IMAXレーザーGTで映画を見る機会は今までほとんどなかったが、今回、グランドシネマサンシャインで見て、福岡のキャナルシティのIMAXレーザー4Kとは桁違いの迫力を感じた。4Kの解像度は鮮明だし、色乗りも素晴らしい。視界を埋め尽くす映像の迫力にも圧倒された。風景のランドスケープ映像はまさに没入感を得られるものである。

音響も12chサラウンドであるが、ホームシアターでは再現不可能な大音量で再生されるため、イマーシヴ感が抜群である。輸入盤4K UHD Blu-rayの再生ではわからなかった環境音が館内に充満しているのがわかるし、戦闘シーンの音圧の高さは常軌を逸している。これだけでも元を取った感はある。映画冒頭でAVアンプのテストトーンのような雑音が意図的に入っているが、この音の配置もスピーカーの位置がわかって面白い。ホームシアターのDOLBYイネーブルド・スピーカーでは、再現しきれなかった天井方向の音の配置が再現されていた。

IMAXでは上映できる作品に限りがあるので、早いと公開2週間で上映リストから消えてしまうことが多い中、公開開始3週間を経過してもそこそこの観客を動員している、この「シビル・ウォー アメリカ最後の日」は内容としても考えさせられるし、劇場で見た方が没入できる作品ではないかと思う。

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