沖縄で活躍する映像クリエイターの當間早志さんが、Xで「沖縄戦のことを書いた本で、一番理解できるのはこの本だと思う」という趣旨の書き込みをしていたのが、この外間守善著「私の沖縄戦記 前田高地・六十年目の証言」である。
當間早志さんのXをフォローしていた僕は、その書き込みを見たのと、前田高地については多少の知識もあったので、早速ネット書店でこの本を購入し、読み始めた。しかし、自身の引っ越しの準備等が重なったため、一気に読むことは叶わず、かなり断片的に読み進めて、数ヶ月かかって、ようやく最近読み終えたところである。
この本は、「前田高地・六十年目の証言」とあるように、沖縄戦で日本軍とアメカリ軍で激戦が繰り広げられていた前田高地の戦いを、日本軍に従事していた外間守善さんが自身の記憶や、他の仲間たち、アメリカ兵たちの証言をまとめて書籍化したものである。沖縄戦については、沖縄県民の多くが犠牲になった、という話はよく知っていたが、実際の兵士の立場で描かれた現実は初めてのことだったので、兵士の立場で見た沖縄戦がどうだったのかを知るのには、貴重な書籍だったと思う。
この本を読む前、當間早志さんは、「沖縄の地名がわかりづらいから、Google Mapで場所を確認しながら読むとわかりやすいですよ」とか「多くの登場人物が出てきますが、同じ人が別の視点で何回も出てくるので、登場人物の名前を記録しておいて、見返しながら読むといいですよ」というアドバイスをしてくれた。しかし、僕はGoogle Mapも登場人物のメモも取らずに読んでしまった。当然本の中でで起きる戦闘の位置はあまり理解できているとは言えなかったが、前に僕は前田高地、すなわち現在は浦添城跡に実際に自分の足で見学に行ったこともあるし、映画「ハクソー・リッジ」で前田高地の戦いを知ってはいたので、感覚的には日本軍がどうアメリカ軍に追い詰められていったかが、理解はできた。
本の証言の中には、「ハクソー・リッジ」の主人公であるデズモンド・ドスの話も出てくるので、その辺は実体験しているかのような感覚を覚えた。
また、沖縄戦終結の日は現在は6月23日になっているが、この本を読むと日本の終戦記念日である8月15日以降も戦いをやめなかった部隊が少なからずいたことに驚きを隠しきれなかった。最終的には9月に入って日本の負けを認めてアメリカ軍に投降したという話であるが、そのタイムラグというか、巷で言われている話と違う実情にショックを隠しきれなかった。
本の最後に外間守善さんの後書きもあるが、ここを読むと戦争讃歌をしているわけではなくて、その悲惨さぶりをどう後世に伝えるかに腐心してこの本をまとめていることがわかり、やはり當間早志さんが言われるように、沖縄戦を知るのに一番適している本であるように思う。
世界が混沌としてきて、また戦火の足音が聞こえる現在、こういった過去の悲劇を学ぶことで、未来に対する行動を起こすための知識を得ることができるのではないかと思う。
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