レビューの詳細は、THE TERMINATOR(4K UHD Blu-ray)|ターミネーター|輸入盤DVDで観た映画のレビューを参照のこと。
ジェームズ・キャメロン監督の映画の4K UHD Blu-rayは、この「ターミネーター」をもって一応全てコレクションしたことになる。いわくつきの「殺人魚フライングキラー」は別にして、他の作品は全て4K UHD Blu-rayで揃えたのだが、実はその中で視聴したのは「ターミネーター2」だけである。しかも、「ターミネーター2」は画質がおかしい、と批評家から注文がつけられた作品でもある。
今回、「ターミネーター」の4K UHD Blu-rayがリリースされると聞いて、結構楽しみにしていたのだが、鑑賞前に海外のレビューの情報から漏れ聞くところによると、4Kマスターを作る際にAIを使っているという話や、4Kマスターなのでオリジナルが35mmフィルムだからネイティヴ4Kかと思ったら、実は2013年のリマスターBlu-rayを作った際に使用した4Kマスターから制作した2Kマスターをアップスケールして4K化した擬似4Kという話などを聞いていた。
そうした話を聞くにつれ、「では自分の目で確認しないとな」と思い、先週届いたばかりの「ターミネーター」4K UHD Blu-rayを今日、鑑賞した次第である。
肝心の画質について言えば、アップスケール4Kなので解像度的には2Kしかないはずだが、物語を楽しむ分にはあまり気にはならなかった。ただ、画面全体の明るさがこれまでのBlu-rayやDVDと比較すると、妙に明るい感じがする。黒浮しているのではなく、影の場面はちゃんと黒が締まっているので、明暗差がDOLBY VISIONによって大きくセパレートしているような気がする。フイルムグレインはほぼ見えないので、印象的には「ターミネーター2」4K UHD Blu-rayのトーンに合わせた感がしなくもない。
そして、気になったのはDOLBY ATMOSでリミックスされた音響である。一言で言えばやり過ぎ感が強いサウンドだということである。ブラッド・フィーデルの奏でるBGMも、一つの音色が一つのチャンネルにポツンと配置されるような形をとっているので、BGMが有機的に鳴るというより、「DOLBY ATMOS Mixでここまでできますよ」というデモンストレーション的要素が強いのである。効果音は比較的ナチュラルに鳴っているが、銃撃シーンはオブジェクトベースというよりチャンネルベースっぽくて、これも違和感は感じ得ない。
作品そのものは大変面白いし、アップグレードした画質と音響で楽しむことはできたが、無条件でこの4K UHD Blu-rayを評価できるかと言われると、ちょっと疑問符はつく。もっとも、配給権の関係で日本では4K UHD Blu-rayのリリースはされないようなので、4K版「ターミネーター」を見るならば輸入盤しか選択肢はなくなる。
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