映画「未来世紀ブラジル」(輸入盤4K UHD Blu-ray/CRITERION)

レビューの詳細は、Brazil(4K UHD Blu-ray/CRITERION)|未来世紀ブラジル|輸入盤DVDで観た映画のレビューを参照のこと。

3連休の中日で時間的余裕のある中、何か映画を見ようと思ったときに、単なる娯楽作ではなく、今の時代を象徴するような内容の映画は何かと考えた。参議院選挙の投票日ということもあり、最初は戦争の惨さを描いた傑作「プラトーン」を見ようかと思ったのだが、起きてから考えたときに個人の自由を奪う世界をブラックユーモアで描いた傑作、「未成世紀ブラジル」のクライテリオン版を見るのが妥当かと考え、143分という長尺の作品を鑑賞した。

以前、輸入盤Blu-rayでユニバーサル・ピクチャーズからリリースされた「未来世紀ブラジル」アメリカ劇場公開版を鑑賞し、レビューを書いているが、クライテリオン版はアメリカ劇場公開版で見られた短縮版ではなく、テリー・ギリアム監督が最終編集権を握ったファイナル・カット版なので、ギリアム監督が意図した「未来世紀ブラジル」をきちんと見ることができる。僕はレーザーディスク時代からこの「未来世紀ブラジル」のクライテリオン版をコレクションしていて、DVDを除いてレーザーディスク、Blu-ray、4K UHD Blu-rayと所有している。今回は4K UHD Blu-rayで鑑賞した。

作品は1985年当時のテクノロジーを世界観に反映しているので、今とはかなり違うのだが、その内容は今に通用するものに仕上がっている。国家によって管理された社会でそこから逸脱するとどうなるのかをブラックユーモアを交えて描いたものである。ラストはかなり重たいのだが、アンハッピーエンドのフリをして実はハッピーエンドと捉えざるを得ない終わり方は、この作品の印象を強く残す。管理された社会というのは、実は今の日本や他の諸国でも見られるナショナリズムを想起させるものであり、危険な思想なのでこの映画の内容がアップデートされる感覚を覚える。

映画はクライテリオン版なので映像は高画質である。4Kならではの高精細な映像が楽しめるし、DOLBY VISIONによるHDR効果は素晴らしい。音響はdts-HD MA 2.0chなのだが、ステレオ音声ではなく3-1サラウンドとしての収録である。AVアンプのサラウンドモードをdts Neural:Xモードで試聴すると、三次元空間に音が出現し、臨場感を得られる。ただ、音質に関してはナローレンジである。

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