ジョージ・タケイ著/ミシェル・リー絵/北丸雄二訳「ぼくらの自由がうばわれる時 第二次世界大戦の日系アメリカ人の物語」サウザンブックス社を読んでの感想

昨日、新宿の紀伊国屋書店新宿本店に行ったのは、スター・トレックでお馴染みの俳優、ジョージ・タケイさんの新刊「ぼくらの自由がうばわれる時 第二次世界大戦の日系アメリカ人の物語」が日本語翻訳されて刊行されるので、その刊行記念としてジョージ・タケイさんが日本に来日され、ミニトーク&サイン会と、追加のサイン会を開催したので、追加のサイン会に参加するためだった。その時の様子は昨日のこのブログに書いているが、新刊「ぼくらの自由がうばわれる時 第二次世界大戦の日系アメリカ人の物語」にサインをいただき、自宅に戻ってから、初めてこの本の中身をじっくりと読んだ。

もちろん、正式な発刊日は2025年11月27日なので、先週の土曜日に横浜で行われたセレモニー&サイン会に参加した人か、昨日のミニトーク&サイン会と追加のサイン会に参加した人でないと、まだこの新刊を手にしている人はいないと思う。

ジョージ・タケイさんの著書ではあるが、今回の本は絵本である。だから、絵はミシェル・リーさんが担当されている。内容は、サブタイトルにもあるようにジョージ・タケイさんが幼少時代に体験した第二次世界大戦での日系アメリカ人を強制収容所に閉じ込めた話を絵本として後世に伝えるものになっている。

20年ほど前にジョージ・タケイさんの自叙伝を買い、サインをいただいて読んだ時にも、この強制収容所の話ははっきりと書かれていたので、驚きの話ではないものの、内容は重たい話ではある。アメリカという自由を謳う国ですら、戦争に入るとあっさり自国民の中で敵と同じ人種の人々を隔離するという暴挙に出るという事実は、いかに民主主義や理想論が脆く崩れるかを明確に示している。

絵本なので、重たい話でもあっさりと頭の中に入っていけるのは、この本の特色だと思う。分量的には多くはないのでものの数十分で全部読み終わることができるが、第二次世界大戦の話を読んでいながら、今の時代のアメリカで起きていることや、日本で起きていることを考えると、話が過去の体験としてではなく、現在進行形の話として読まざるを得なくなり、読後に考え込んでしまう。

トランプ大統領はあっさりとアメリカの民主主義を破壊してしまったし、日本も高市早苗総理が何も考えずに自分の意見を前面に押し出すので、中国と揉めていて非常によろしくない状況にある。歴史は繰り返す、という言葉を地で行くような状況にあると言ってもいい。大衆も一国のリーダーの発言に同調する意見が非常に多くて、民主主義自体がどこかに行ってしまったと言える。

そうした状況において、目を覚まして事態を認識するには、この絵本のような作品に触れることは必須だろうと思う。絵本を読んで、自分の頭で考えないと、悪い方向に向かっていく気がしてならない。

ジョージ・タケイさんがこの絵本を書くきっかけになったのは別にトランプ大統領が二期目の就任に就くからというわけでもないだろうが、あまりに時代の流れと一致しているので、カウンターとしての存在感を示している。

この絵本の刊行にはかなり大変な苦労が関係者にかかっていたらしいが、できれば多くの人に手に取って読んでもらいたいと思っている。読むだけの価値のある内容である。

コメント

タイトルとURLをコピーしました