下川裕治というと僕の中では沖縄について著述している人という印象はあるが、その沖縄本の中でも度々触れられているのが、タイである。しかし、タイのバンコクについて触れられた著述はここ10年なかったという。それはバンコクが日本ようなの高度成長化経済の波に襲われ、下川裕治が憧れていた緩い生活をするバンコクから段々逸脱していったからであるという。しかし、10年経って、その高度成長化も終わりを迎え、改めてバンコクに向かい合うことが出来たのが、この本の記述に至ったという。そういう意味ではバンコクの観光ガイドというには下川のバンコクについて関心のある項目が語られていることで、単なる観光ガイドにはとどまらない、下川のあこがれのような物が満ち満ちている一冊になっていると思う。滅多に触れられない下川個人のトラブルもそこに絡められていて、なぜバンコクに憧れるのかが何となく分かるようになっている。読んでいるとその緩さのあるバンコクに行ってみたいと思わせる何かがこの本にはある。アジアという枠では語れない本質がこの本にはあると思う。
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