福井晴敏「ユニコーンの日(上) 機動戦士ガンダムUC1」角川文庫

大のガンダム好きを公言し、かつてはターンAガンダムのノベライズまで行った福井晴敏が満を持して書き上げたのが、この「機動戦士ガンダムUC」。物語が逆襲のシャアの3年後という設定はナイスである。一番イメージしやすい時間設定だろうと思う。もっともプロローグでは、ユニヴァーサル・センチュリー誕生の瞬間の事件を描き、そこから一気に時間をジャンプして「ラプラスの箱」という謎の物体をめぐっての丁々発止が徐々に描かれていく。そして福井晴敏節が健在だなと思うのが、キャラクターの設定。まだ序盤ということもあって、細かいキャラクター設定がされていない所も多いが、主人公のバナージのキャラ設定は、過去の福井作品と同じく、今いる世界に違和感を感じている、何かに飢えているというものになっている。そしてそれを変えそうな少女・オードリー(なんとなくだが偽名のような気がする)との交流や、マリータと呼ばれる反乱分子の一員である少女の位置関係。先が楽しみな作品である。

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