仲村清司著「ほんとうは怖い沖縄」新潮文庫

奥様の強権発動によって東京から沖縄に移住してしまった著者である仲村清司さんが、沖縄で暮らすうちに知ってくる沖縄の裏の側面、霊の存在やしきたり、不思議な体験などをコラム状にまとめた本がこの「ほんとうは怖い沖縄」である。冒頭の話からして、怖い。奥様の強権発動によって沖縄に移住したはずなのに、奥様に霊が取り憑いているために仲が悪化してしまい、結局著者が離婚をせざるを得なくなるという、結構著者の本を読んでいる僕としても驚きの話である。それを皮切りに御嶽の霊の話や、神様の話、戦跡スポットで出る霊の話など、色々な怖い話が出てくる。それを読んで思ったのは、沖縄人自身があの世とこの世を分けて考えていないということ。あの世はあの世で人は生活しているし、それを維持するにも金銭が必要になるという身も蓋もない考え方が浸透しているというところは、沖縄らしいともいえる。既に日本では失われてしまっている古い風習が、未だ沖縄には残っているのだと思う。また、戦跡後は、やはり怨念が残っているのだと思う。見える、見えないは別にして、そういう跡地は不気味な感じはする。そういう意味では、沖縄に取り付かれた人に取っては、一読の本だと思うし、読んでいて好奇心をかき立てられる本であるとも言える。

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