2025年8月下旬に刊行されたのが、望月衣塑子さん初の自叙伝「ブレない人」である。前に記事に書いたが、僕はこの本をLOFT9 Shibuyaで開催された「望月衣塑子ナイト」での即売&サイン会で手に入れている。「望月衣塑子ナイト」は8月28日だったと思うが、その頃はまだ「ソウル・サーチン」を読み終わっていなかったので、この本をすぐに読むことはできなかった。
その後、「ソウル・サーチン」を読み終わったので、この「ブレない人」を読み出した。初の自叙伝でかつグラビア付きというとんでもない本である。望月衣塑子さんといえば、新聞記者なのに知名度は高い。知名度は高いが、肯定的に捉えている人が多いかと言われると、そんなにはいないのではないかと思う。
望月衣塑子さんを否定的に捉えている人の意見を見ると、「空気を読まない」とか「質問を述べているのか意見を言っているのかがよくわからない」などという点で評価されていない部分が大きいように思える。ただ、僕からするとその否定的見解の部分は逆に評価する部分である。評価していなければ、「望月衣塑子ナイト」を見に行くこともない。
自叙伝なので、子供時代から新聞記者としての活動に焦点を当てての話になっている。一部新書の「新聞記者」と被る部分もあるように思うが、新聞記者としてあくまで疑問に思ったことは場の空気を読まずとも質問を続けるスタンスは、僕的には評価している。
内容としては、菅官房長官とのバトルの話や、シャニーズ性加害の問題についての話、トランプ大統領が成立してしまった2024年のアメリカ大統領選、それから「望月衣塑子とオッカ君チャンネル」立ち上げの話など、大変興味深い内容が盛りだくさんである。そして、世間の評価から外れて、僕が望月衣塑子さんを評価するスタンスが上がってしまったのも事実である。望月衣塑子さんが追求する姿勢を崩さないので、他のマスメディアが有耶無耶にしがちな数々の社会的問題がまだ解決すらしていないことを再認識するからである。
望月衣塑子さんはかつてはArc Timesでキャスターとして活躍していたが、Arc Timesを降板して、今は「望月いそ子とオッカ君チャンネル」で一人で頑張っている。Arc Times降板の理由は正確にはわからないが、この「ブレない人」を読む限り、いくつかの課題があってそれを解決するためにArc Timesから独立して自分一人でやられているように思える。「望月いそ子とオッカ君チャンネル」も毎回ではないが、しばしば見ているので、この辺の支援はしていきたい。
本の最後には「こんな本を読んできた」という章があり、望月衣塑子さんが読んできた本の紹介や感想が書かれている。望月衣塑子さんはあまり本を早く読めないそうだが、僕が読んだ本を取り上げてくれているので、同意する意識が高まった。
世間の意見からすれば、お薦めしても手に取られる人は多くはないとは思うこの「ブレない人」だが、僕的にはこういうマスメディアの人がいてもいいのではないか、いや、いなくてはいけないのでは、と思うところが大きい。もし、望月衣塑子さんの行動に少しでも共感できるならば、この本はその助けになると思う。
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