清水杜氏彦著「うそつき、うそつき」早川書房

FMヨコハマでアナウンサーをしていた北村浩子さんが、お薦めの本として紹介していたのが、清水俊彦著の「うそつき、うそつき」である。舞台設定はどこかの国。法律で首輪をつけることを義務付けられている国である。その首輪は、つけている人が嘘をつくと、赤くランプが発光し、他人に喋ったことが嘘である、とばれてしまう仕掛けになっていた。それを不自由に思う人たちも一定数いて、その首輪を外すための請負人も存在していた。首輪は請負人でないと外せず、自力で外そうとすると、首輪の中に仕組まれたワイヤーが首を絞めていき、その人を死に至らしめてしまう、という設定である。主人公はその首輪を外すことを請け負っている請負人である。彼はまだ若いが腕は確かである。とはいうものの、すべての依頼を成功させてきたわけでもなく、何人もの人を死に至らしめてもいる。その主人公が何人かの依頼を通じて、その首輪の出来た由来や、自身がつけている首輪の特殊性、主人公が気になっている少女の首輪の秘密など、幾つかのストーリーが絡み合って、展開されていく。物語が進むにつれ、真相も明らかになるが、その真相自体がどこまで真実なのかわからず、最後まで謎のままアンハッピーエンドに終わるのは、切ない物語だな、と感じた。新人が描いた作品にしては、出来が良く、キャラが立っているので、読み応えがある。僕もお薦めしたい作品である。

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