元々はNHK広島が制作して、NHKの中国地域のみで放送されていた「あれから3年 すずさんが投げかけたもの」、「このせかいの(さらにいくつもの)片隅に」の公開にあわせてか、2020年1月9日の午後にNHK総合の全国放送で放送された。わずか30分という短い番組であるが、片渕監督や主演ののんさんのインタビューに加え、ナレーションに映画で遊郭で働くリンさんの声を担当した岩井七世さんが担当していることもあり、映画のサブテキストとして過不足ない出来になっている。もちろん内容がインタビューだけでなく、映画に影響を受けた一般市民の活動についても独自に取材していて、映画の威力みたいなものは存分に感じ取れる。それにしても「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」は、架空の映画の話が現実に食い込んでいく話であり、いかに作品が現実に感じられる内容になっているかがよく分かるというところである。NHKは「この世界の片隅に」の地上波発放送といい、結構この作品を押している放送局だなという印象がある。やはり全国放送であり、ローカルでも独自の番組を作っている実績がそうさせるのか。今からではちょっと見られないが、番組を録画した人は見ても損はないと思う。
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