「この世界の片隅に」こうの史代 片渕須直対談集 さらにいくつもの映画のこと(文藝春秋刊)

2019年12月20日から全国ロードショーが開始された「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」。この映画の上映に関し、関連書籍が様々出版されているが、原作者であるこうの史代と監督である片渕須直の「この世界の片隅に」上映開始前のイベントから始まって、2019年夏の片渕須直監督の独占インタビューまで含めて、この二人の対談を集めて文書化し、一冊の本にまとめたのが、この”「この世界の片隅に」こうの史代 片渕須直対談集 さらにいくつもの映画のこと”である。まだ「この世界の片隅に」が制作中の頃からの原作者と映画監督の作品を巡る対談を集めた本であるだけあって、「この世界の片隅に」および「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」のサブテキストとしては優れた本になっている。漫画や映画で分かりづらい解釈について、二人がいろいろ話をしているのを読むと、作品の理解が深まるようになっているのがこの本のポイントである。特にこうの史代と片渕須直の徹底した事前調査には頭が下がる思いである。単行本なので値段は張るが、「この世界の片隅に」または「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」を観て心を揺さぶられた人にとっては、作品の理解を深めるいい本になっていると思う。

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