藤井誠二著「沖縄でも暮らす 「内地」との二拠点生活日記 2」論創社

ノンフィクションライターで鋭い作品を残している藤井誠二が、沖縄病に罹って那覇に生活の拠点を構え、東京との2拠点生活を送っている日記の沖縄滞在分を記録した日記の第二弾が、この「沖縄でも暮らす 「内地」との二拠点生活日記 2」である。前作「沖縄の街で暮らして教わったたくさんのことがら 「内地」との二拠点生活日記」が好評だったのか、その続きとして今回小部数刊行されている。

今回の日記は、双葉社のインターネットサイト「タビリスタ」に掲載してきた日記をベースにしているとのことなのだが、「タビリスタ」を読んでいた僕的には、記事の内容を全く思い出せず、今回読む内容が新鮮に感じられて仕方なかった。なんか、記事自体も色々加筆していないか、と思わせるところが多く、読み応えがあった。残念なことに「タビリスタ」は閉鎖になってしまったので、日記の続きを読むことは現在できないし、この本の続きの部分で「タビリスタ」に記述していた日記も読むことはできない。

基本的には沖縄滞在の日記なので、意外とワンパターンな生活を送っているなと思わせる記述が多いのだが、その途中途中で、藤井誠二ならではの鋭い指摘や、他社の記事の引用があったりして、同じく沖縄病にかかっている僕としては、考えさせられる箇所が多かった。日本と沖縄、アメリカの関係について昔から変わらない関係について、どう僕的に発信していけばいいのだろう? と悩む部分も多数ある。

また、驚いたのは藤井誠二自身がメンタル疾患を患っていて、睡眠が満足に取れた試しがない、という告白をしているところや、それにまつわる話を少しだけしているところも共感を持った。僕自身メンタル疾患を抱えているから、同情すべき部分はある。

それでも日々の日記で行く食堂やせんべろの話などを読むと、「一回行ってみたいな」と思わせる部分もあり、単に堅苦しい文章だけでなく、沖縄病に罹ってしまった人の典型例みたいなものを見せられているようで、その部分は面白いと思う。

藤井誠二が関係する人も、沖縄書籍や文化関係ではお馴染みの人たちが多数登場するので、「この人とはここで繋がっているのか」と理解しやすくなっている。

個人の日記ではあるので、万人に勧められる作品ではないとは思うが、ノンフィクションライターの視点でライター自身を描いたらどうなるか、という見本のような本であり、ノンフィクションに関心はあるのだが、堅苦しいのは遠慮したい、という向きにはかえって読みやすいかもしれない。もちろん、沖縄病にかかっている人には、もっと思考を張り巡らせるために必読の本であるとは思う。

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