NHKスペシャル「ジャニー喜多川 “アイドル帝国”の実像」を見て感じた違和感

昨年春のBBCの告発ドキュメンタリーから始まったジャニーズ事務所の初代社長、ジャニー喜多川の性加害問題は、ここ最近めっきりメディアでの話題が下火になり、Xでポストする人やそれをリポストする人も減ってきており、事件の風化を感じさせていて、よろしい状況ではないと思っていた。

先日は被害者の方々がマスメディアに対して記者会見をして、事件の風化に対して警鐘を鳴らしていたが、それに相反するようにテレビ東京が「SMILE-UP.の被害者への補償は順調に進んでいる」という詭弁で「STARTO ENTERTAINMENT」の所属タレントを起用再開するといって、愕然としたものだが、それに続くかのようにNHKも同様の見解を発表してしまった。

NHKの発表に遅れること2-3日、NHKはNHKスペシャルで「ジャニー喜多川 “アイドル帝国”の実像」という特集を放送するという。昨年、「クローズアップ現代」でこの問題を取り上げた時にはツッコミが不足している、という視聴見解を述べさせていただいたが、今回はどういう内容でオチをつけるつもりなのか、気になった。特にNHKの会長が「STARTO ENTERTAINMENT」のタレント起用を再開するというアナウンスメントを出した後だけに、この見解に箔をつけるためのオチにするのではないか、という気がしていた。

当初はリアルタイムで番組を見て、僕の見解をここで述べようと思っていたのだが、昨日の晩は別の用事が入ってしまい、リアルタイムでは見られなかった。一応念のためにHDDに録画はしてあったので、今日の昼、仕事の休憩時間を潰して1時間、視聴した。

番組を見て、感じたのは違和感でしかなかった。半分はジャニー喜多川を褒め称えるかのような内容だったと思う。半分は彼の性加害を暴き出してはいたが、やはりツッコミは甘いし、NHK自身がジャニー喜多川の性加害を知っていたのにも関わらず、どこか他人事として番組を制作しているのには、おかしいとしか言いようがなかった。

番組の中でおかしいと思ったのは、フォーリーブスのメンバーの一人がジャニー喜多川に恩義を感じている部分をそのまま放送している場面や、元テレビ東京の方が淡々とインタビューに答えている部分、そして、初代ジャニーズのメンバーの一人が性加害にあっていて、すでにこの世にはいないのだが、彼の姉がSMILE-UP.に性被害を届け出ても、けんもほろろに被害を否定するという部分である。ジャニー喜多川が犯した性加害に対して、法を超えて謝罪すると発言した東山社長の話を全く遂行しておらず、杓子定規的に対応する場面には、「SMILE-UP.は本気で謝罪しようとする気はないのだな、有耶無耶にして幕引きを図ろうとしているな」と思ったし、フォーリーブスのメンバーの一人の見解や元テレビ東京の方の発言も、ジャニー喜多川の犯罪を美化しているようにしか見えなかった。

番組の最後にはテロップが流れるが、これもNHK側の言い訳にしか見えなかった。これで幕引き、あとは従来通り元ジャニーズのタレント使います、視聴率取れるので、といっているようなものである。

個人的事情もあり、今回の番組に対してNHKに意見を送る気持ちの余裕はないが、ジャニー喜多川の性加害に対してマスメディアが加担したことに対しての結末は、今回の番組でもはっきりさせないことにかなり失望感は感じている。新聞やテレビといったマスメディアが衰退しているのは知ってはいるが、この一件を見ているだけでも、もはや信頼できないメディアだな、と再確認できる。NHKに視聴料を払っているのには馬鹿馬鹿しくなるし、正直支払いたくなくなってきている。法律で決まっているから払ってはいるが。

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