「出版大崩壊 電子書籍の罠」山田順 文春新書

元光文社編集長だった著者が、自らの体験を元に描き出す電子書籍の時代における出版物の崩壊を予測した衝撃の書。その内容によれば、時代は否応無くともデジタル化し、出版物も紙の時代から電子データにならざるを得ない。しかし、紙の出版物の売上の減少を電子書籍では補えずに出版業界はシュリンクしていかざるをえない。また、情報化社会においては、誰もが情報発信できるようになってしまった結果、くだらない書籍の中にに優れた書籍が埋没する危険性すらあるという。この本では、そうしたところをあますことなく書ききっている。元々は電子書籍を推進していた出版社で発刊予定だったが、内容が電子書籍を否定するような内容にならざるを得ず、その出版社から断られ、文春新書からの出版となった。作者はそれなりにいい年齢を重ねているが、業界で色々チャレンジしているだけあって、説得力のある内容になっている。特に出版業界をレコード業界になぞらえてその予測をしているところなどは頷いてしまう。本好きには衝撃の内容だが、一度は読んでみて損はないと思う。

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