1980年代の後半、日本のアニメで「三大サイバーパンク・アニメ」と呼ばれる作品群があった。一つ目はガイナックスが製作した「王立宇宙軍/オネアミスの翼」、二つ目が押井守の「機動警察パトレイバー」、そして三つ目が今回鑑賞した「AKIRA」である。1988年公開のこの「AKIRA」を当時、住んでいた神奈川県は横浜の天王町の名画座で、鑑賞した記憶がある。その後、LD、Blu-rayと買ってはいるものの、Blu-rayは未だ試聴すらしていない。今回、IMAX版で劇場再公開になったのは、4K UHD Blu-rayが発売されるためのプロモーションもあったと思う。2020年4月3日から公開開始し、多分2週間程度の上映を予定していたと思うのだが、新型コロナウイルスの影響で映画館が営業を自粛してしまい、営業自粛から解除された後も新作映画がないので、続映になっているのだと思う。改めて今回この映画をIMAXレーザーシアターで鑑賞して思ったのは、映像は確かに32年前のセル画フィルム撮影のためにちょっと古めかしい雰囲気を称えているということと、音響が当時のDOLBY STEREO 4.0chからIMAXレーザー12chにパワーアップしていて、音響面では最新のリアリティを追求していることが挙げられる。そして思うのは、東京という都市の破壊と再生がこれほどまでにリアリティを持っているとは思わなかったことにある。映画の中でも東京オリンピック開催が設定されているが、現実世界では東京オリンピックはとりあえず1年延期、もしかしたら開催中止もありうる、という状況で、映画の世界とシンクロしている感がある。物語は超能力を持った少年たちが東京を破滅から救おうとするが、結局それも叶わず、という展開である。IMAXレーザーの4K画質と12chサラウンドの効果は素晴らしく、音圧や帯域が伸び伸びと鳴っていて、劇場で見る動機にもなっている。いつまで上映しているか分からないし、新型コロナウイルスの蔓延を避けるために劇場を敬遠する向きもあるだろうが、機会があれば、IMAXで見てもらいたい。見るだけの価値はある仕上がりになっている。
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