神様現る

神様現る、と壮大なタイトルをつけたものの、実際の神様が出現したわけではない。現れたのは、おそらく精神障害者、もしくは痴呆症だと思われる老人である。今日の帰りの電車の中で、席に座っていた僕の隣にどしっと座り、最初はブツブツ「子供は作ってはいけない」などと繰り返し呟いていたのであるが、次第に声が大きくなって、最後は怒鳴るように「8代将軍徳川吉宗である」と発言したことを受けて、僕は「神様が現れた」と思ったのである。僕自身もメンタルな病気の発病時に異常行動しているので、なんとなく理解はしているつもりだが、それでも、やはり異常な状態の人物が隣にいると、ちょっと緊張する。本当は席を移ればよかったのだが、そのタイミングを逸したのと、iPhoneでネットを見ていると、なんとか我慢できる状態だったので、移動しなかった。ただ、意識はどうしてもその老人にフォーカスしてしまい、気にはなった。家族はこの老人を放置しているのだろうか。病院に連れて行って、適切な治療を施したほうがいいのでは、と思っていた。幸い、途中の駅で降りて行ってしまい、車内は静かになったのであるが、なんか車内は気まづい感じだった。こういう神様が少しでも少なくなるよう、医療が発達すればいいのにな、と思った瞬間だった。