今年一番のヒットを記録し、まだまだ観客動員を増やし続けるお化け映画がこの「君の名は。」である。実の所、公開から数ヶ月も経って、劇場に足を運ぶようになるとは思ってもみなかった。切っ掛けは「この世界の片隅に」を偶然劇場で観てしまい、感動のあまりネットで感想等を観ていたところ、「君の名は。」に対しての否定的見解が多くて、実のところどうなのだろうと、疑問に思ったのが、その理由である。その他にも割引料金で映画が鑑賞できる、という理由もあったが。で、観た感想だが、そもそも作品としての比較をする事自体、意味がない、と言える。「君の名は。」は、ボーイ・ミーツ・ガール、ガール・ミーツ・ボーイの話であり、それに相当のSF設定を混ぜ込んだ良作だと思う。冒頭からして、主人公の瀧と、三葉の体と心が入れ替わる、というSF的面白さがあるのだが、物語後半では、それに輪をかけたSF的展開がストーリーを引っ張り、二人の関係をより強固なものにしていく、という話の面白さがあると思う。しかも、瀧は東京、三葉は飛騨という全く離れた地域でのやり取りや、お互いの名前をすぐに忘れてしまい、思い出せなくなる、という切なさも物語に込められていると思う。なので後半の展開は、どうオチをつけるのか、かなり引き込まれる部分がある。そして、ラストは、いいまとめ方だなと思う展開になっている。戦時中の市民の暮らしを描いた「この世界の片隅に」とはジャンル自体が違うので、どちらも出来はいいとしか言いようがない。ただ、「この世界の片隅に」の方が鑑賞後のどう表現したらいいかわからない、複雑な印象は受けるが、「君の名は。」の方は、割りかし明瞭な感情表現できると思う。とにかく、アニメでここまでできる、という素晴らしさがこの作品には溢れていると思う。
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