映画「戦雲(いくさふむ)」(KBCシネマ2)

以前、YouTubeで三上智恵さんが登場するArc Timesのライブ番組を見て衝撃を受けた、という話を書いている。その最後で、「この”戦雲”を見たいのだが、予定がいろいろあって見に行けるか悩ましい」というような話を書いている。

結局、ここ福岡でKBCシネマで劇場公開された時の上映時間と、IMAXシアターで「オッペンハイマー」を上映する時の上映時間が全く合わず、その他の予定もあって、「戦雲」を見に行ける機会は逃していた。予定が詰まっていたので、劇場公開時には見られず、書籍で出ている「戦雲 要塞化する沖縄、島々の記録」の動画と文章を読んで、済ますしかないかなと思っていた。

ただ、今日仕事を年休取得で休み、他の用事を色々済ませたら、「戦雲」を見に行ける時間が出来た。KBCシネマの上映スケジュールも今日を逃すと見に行くチャンスはなかったので、思い切って天神にあるKBCシネマまで足を伸ばした。

内容は、台湾有事、脅威を増す中国に対抗して住民の理解を得ないまま軍事要塞化していく沖縄、特にメインは与那国島を中心に石垣島や宮古島で軍備増強の進む自衛隊とそれに反発する住民たちの姿を描いたドキュメンタリーである。日本のマスコミがまず報道しない映像を大量に投じた内容なので、普通の日本人よりは沖縄に詳しいと勝手に思っている僕でも、衝撃的な内容になっている。

それは、自衛隊の軍備増強がここまで進行してしまったのかという驚きと恐怖感であり、それをなし崩し的に進める防衛省や国の要職の人々の不気味さがあると言える。

自衛隊そのものに対する恐怖感もあるのだが、その一方で地域に溶け込んで行こうとする自衛隊の末端の隊員たちの姿も描かれ、与那国の祭りに一個人として参加して、地元の人からも一個人として認められている描写もあるので、自衛隊そのものに対する批判をただすればいいと言う訳にも行かない。

それでも、何か有った時には自衛隊が沖縄の人々を守る活動をするのかといえば、しないだろうし、住民を見捨てて国のために防衛するだろうという住民たちの半分諦めのような想いは、沖縄だけの問題ではなく、日本全体の問題として考える必要はある。沖縄でなし崩し的に防衛力強化をしている現状では、いずれは日本本土もそうなると見るのが適切である。

だから、本当はもっと日本国民はこういう映画を見て、自分たちが何ができるのか、少しでいいから考えていかないといけないと思う。SNSで国の政策に文句を言ってもいいのだが、効果は薄いと思っている。もっと別の動きは必要なのだろうという認識である。僕にできることといえば、このブログで意見を述べることと、選挙は棄権せずに今の政権与党には絶対に投票しない、というぐらいしかできないが、何もしないよりはマシだと思っている。

こういうふうに書くと、「沖縄の人たちにも軍備増強を賛成している人も多い」などという人が必ず出てくるが、その一面はないとは思っていなし、映画でもそういう部分の描写もある。でも、本質的にはなし崩しで物事を進める政府のやり方に異議を申し立てているという点では住民の意見は一致しているのではないかと思っている。僕自身、非力ながら何ができるのかは絶えず自分に問う姿勢だけは無くしたくはない。

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