還暦を過ぎても、なおアジアを中心にバックパッカーの旅を続ける下川裕治の新作が、この「ディープすぎるユーラシア縦断鉄道旅行」である。タイトル通り、ディープな旅で、なんと南はシンガポールのウッドランドから北はロシアのムルマンスクまで、すべて鉄道で旅をする、というかなりとんでもない旅である。しかも、途中からはお茶の歴史を追って、お茶のシルクロードと言われる道を同時に追跡するという、ディープさにもほどがある、という内容になっている。中国やロシアといった国では、鉄道のチケットを取るのにも一苦労、いや、二苦労、三苦労をかける、という徹底ぶり。それでも、いつもの下川節が炸裂していて、内容としてはなかなか普通の人には体験できない旅の様子が生き生きと描かれている。お茶のシルクロードというのは今作で初めて知って、また、お茶もいろいろ種類があるということを初めて知ったぐらいである。その辺は、関心のある人には、楽しいのではないかと思う。
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