全米で大ヒットを記録した映画「ハンガー・ゲーム」の原作本の下巻に当たるのが、本書。この下巻では、ハンガー・ゲームでのカットニスのサバイバルが描かれている。その中で、ハンガー・ゲームのオーガナイザーの反則技によって、ルールがいろいろ変更され、カットニスは同郷の出身者であるピータと、恋愛感情のようなものが芽生えてくるが、それが本物なのか、違うのかは本人すら意識していないという展開で進んでいく。映画版と違って、カットニスの死闘が克明に描かれているので、オーガナイザーの反則技も、主人公を危機に陥れるための技として素直に受け入れられる。カットニスがピータのことを恋愛の対象としているかは、本人が子供を持ちたくないという意識を持っていることからも、微妙である。ただ、戦いの中でピータに救われ、それに感謝していることだけは確かなのと、ピータ自身はカットニスのことを本当に好きなのだろうということが、明白に見えてくる。小説を読む限り、この上下巻で物語が完結しているわけではなく、第2巻以降も続く余韻が残っている。実際に小説は第3巻まであるし、物語が続いていくのであるが、その続き具合が小説の最後としては不安定な余韻を漂わせている。
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