富野由悠季著「機動戦士ガンダムII」角川スニーカー文庫

富野監督自身が執筆する「機動戦士ガンダム」の小説版第2巻。基本的なテレビの設定は大半が第1巻で終わってしまったので、この第2巻では全く異なるストーリーが展開される。新たなニュータイプの女性パイロット、クスコ・アルの登場とアムロとの戦い、シャアが新たに乗るモビルスーツ、リック・ドム、テレビ版ではちょい役でしかなかったシャリア・ブルの存在感の強さ、そして誰もが驚いたアムロとセイラとの男女関係の構築など、テレビのストーリーから大きく逸脱した物語は、その面白さを伝えてくれる。特にアムロとセイラの関係が深くなる件は、少々エロティックな描写も含め、ガンダムの主な視聴層にはインパクトを与えてくれるのではないかと思う。その関係が、シャアとアムロとの関係をも複雑にさせていると言えよう。ニュータイプ用モビルアーマーは、ララァの時と同じくエルメスではあるが、パイロットがクスコ・アルに変わったことで、ガンダムとの戦いがより迫真的に感じられる。ニュータイプへの概念も次第に深まっていて、ある種の重さを感じさせてくれる。最終巻では、更に重たいドラマが展開されるので、必読である。

コメント

タイトルとURLをコピーしました