下川裕治というと僕にとっては沖縄文化の紹介者というイメージが強い。それは僕が沖縄の本を買うと大抵彼が執筆していることが多いからだが、実際の彼は貧乏旅行で世界を回り、タイに入れ込む旅行の神のような人である。そんな彼の企画したのがこの本にあるユーラシア大陸を鉄道で横断するという無茶な企画だった。案の定トラブル続出の旅になっているが、その分読んでいる方としては興味深い。基本的にロシア、中国、旧ソ連からの独立国家、そしてEUと渡っていくのだが、その国々の個性が旅の途中で表れてきて、なるほどと思うところがある。この旅は基本鉄道の旅なので、泊まるところも列車の中ということが多く、食事も列車の中でパンとチーズぐらいの簡便さといういかにも下川裕治らしい旅になっている。普通の人だとこんな旅行は御免被りたいが、本で楽しむ分にはいうことなし。旅好きならば一度読んでみてもいいかもしれない。
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