人類が宇宙に進出して早100年以上。スペースコロニー・フロンティアIVに対してクロスボーン・バンガードという軍隊が襲撃を仕掛ける。クロスボーン・バンガードは、コスモ・バビロニア建国を目標に掲げ地球連邦軍に宣戦を布告したのだった。その戦いに巻き込まれたシーブックは、母が開発したガンダムを操り戦場を駆る。一方友人のセシリーは、クロスボーン・バンガードに拉致されてしまう。彼女はクロスボーン・バンガードのリーダーの娘だったのである。セシリーは一度はクロスボーン・バンガードの戦士として戦いに挑むことになるが、戦場でシーブックと再会し、再び寝返ることになる。そのさなか、クロスボーン・バンガードの鉄仮面はバグと呼ばれる兵器をコロニー内に放ち、民間人の抹殺を企んでいた。
1991年に公開された宇宙世紀を舞台にしたガンダムシリーズの一編。聞いた話によると、元々はテレビシリーズを検討していて、その第1話という位置づけで劇場公開されたという。そのせいかラストで続きがあるような字幕が出る。このころになると富野監督はガンダムしか作らされないので、鬱憤が溜まっていたのではないかと思うが、意外とストーリー的には明快である。登場人物が劇場公開映画としては異常に多いのが特徴でもあり、難点でもあると思う。人物を追っかけるだけでも大変で、それぞれにキャラクター造形があるから集中していないと置いてきぼりになる。基本的には主人公のシーブックと、ヒロインのセシリーの二人の関係を追っかけていけば何となくストーリーは分かるといえるが、それでもクロスボーン・バンガードの組織とか、詰め込み過ぎなところはあると思う。敵となるのがセシリーの父である鉄仮面というのが、明確なストーリー展開の証明ではないかと思うが、映画で死んでしまって(本当か?)その先作られるのか疑問も残る。作品的には可でもなく不可でもないと思う。映像的には、フィルムの画質が甘かったりするところがあり、製作年度を考えてもあまり良好な映像とは言えないような気がする。1.85:1のワイドスクリーンだが、少し額縁映像となっていて、上下左右に黒みが出る。サウンドもDOLBY SURROUNDなので、今の5.1chと比較すると、立体感に少し欠けるような気がする。音が意外とサラウンドに回っていない感覚を覚える。
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