レビューの詳細は、ようこそ映画音響の世界へ(HD/Netflix)/Apple TVで観た映画のレビューを参照のこと。映画音響の制作については、映画個々のDVDやBlu-rayの特典映像に入っているメイキングで垣間見れるところもあるが、映画の歴史全体を通じて音響効果を語っているドキュメンタリーというのはありそうでなかった。2019年制作のこの「ようこそ映画音響の世界へ」は、その映画の歴史とシンクロする音響効果にフォーカスを当てたドキュメンタリーであり、どのように音響効果が進歩していったかがよくわかる作品になっている。登場人物もフランシス・フォード・コッポラ、ジョージ・ルーカス、スティーヴン・スピルバーグ、ピーター・ウィラー、アン・リーといった映画監督から、ウォルター・マーチ、ベン・バート、ゲイリー・ライドストロームといった音響効果製作者たちまで、音響効果に深く関わっている映画製作者が次々に現れ、音響効果の重要性について、じっくりと語っているので、普段意識しないで映画を見ている観客にも、音響効果の重要性がわかる内容になっている。映画は、音響効果の歴史と、音響効果の制作手順についての二つのパートに分かれて説明があり、その説明の中で音響効果の重要な映画のフッテージが組み込まれるという仕掛けがなされている。
作品は、2019年に劇場公開されているが、小規模公開だったようで、そんなに収益は上げられていない。ただ、批評家からの評価は極めて高いところが、この映画の出来の良さを表していると思う。映像はHD画質で収録されているが、ディスクメディア自体がBlu-rayでの販売に留まっていることから、マスター自体が2Kである可能性は高い。2K映像ではあるが、映画制作者に対するインタビューシーンは、映像の解像度も高く、色乗りも十分あり、満足のいく映像を提供している。ただ、映画製作者が音響効果を生み出しているシーンは、記録している媒体がフイルムであることが多いのか、かなり荒れた映像になっている。更に映画のフッテージも存分に組み込まれているが、その映画のフッテージのシーンの映像はまさに映画のシーンに応じた画質になっており、統一感はない。音響はDOLBY DIGITAL 5.1chで収録されていて、映画の主観である音響効果を最大限発揮するサラウンドになっていて、サラウンドのデモ映画として魅力的に映る。映画ファンならば、見て損のない映画である。
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