トム・クルーズを一躍スター俳優にの仕上げた1986年の大ヒット映画「トップガン」の36年ぶりの続編が、この「トップガン マーヴェリック」である。監督は、前作のトニー・スコットがすでにこの世を去っているので、ジョセフ・コシンスキーが監督を務めている。この「トップガン マーヴェリック」はプロデューサーにジェリー・ブラッカイマーが担当しているが、制作会社としてはやはり既にこの世を去っているドン・シンプソンとの制作会社が担当している。日米同時公開のこの作品だが、評価はとても高く、現時点でのRotten Tomatoesの批評家評価は97%、観客評価は99%と驚異的な評価を得ている。
主役は、当然トム・クルーズ演じるマーヴェリックだが、今回はマーヴェリックは脇に回り、若きトップガン卒業生たちを指導する講師役に徹するのかと思いきや、やはりトム・クルーズのスター映画なので、マーヴェリックは物語の主人公として大活躍をしてしまうのである。その辺は愛嬌あるところなので、純粋に楽しめれば良いのではないかと思う。
若きトップガン卒業生たちのメンバーの中には、前作でマーヴェリックの戦友であり、事故死したグースの息子であるルースターもいて、マーヴェリックと確執を持って描かれている。マーヴェリックは、ある理由からルースターを軍に入れる申請を却下してしまったのであるが、ルースターはそれを根に持っていたのである。この二人の確執を中心に、若きトップガンたちを訓練するマーヴェリックの姿が描かれ、格の違いを見せつけるところはやはりスター映画である。
物語としては、某国(それがどこかが明らかにされないのが、もどかしいのであるが、北朝鮮あたりだろうか)のウラン濃縮施設が稼働しかかっているという情報を得たアメリカ軍は、施設の殲滅を図るべく、トップガン卒業生たちによる戦闘機による攻撃を計画していて、上司の命令を無視してマッハ10の速度で戦闘機を飛ばすマーヴェリックが、かつての戦友アイスマンの推薦もあり、トップガン卒業生たちを訓練する任務を請け負うというものである。わずかなシーンではあるが、ヴァル・キルマー演じるアイスマンも登場するので、前作を見ていた人には感嘆する思いである。
物語は若きトップガン卒業生を訓練するマーヴェリックと、卒業生たちの意思疎通ぶりと、マーヴェリックの恋愛模様が同時に描かれるが、後半にいくに従って、マーヴェリックがとんでもない活躍をしてしまうので、見ていて爽快感に感じるところである。それと共に、ルースターとのわだかまりの解消も図られていくので、ルースターの存在感も強くなっていくのが特徴である。
映画は戦闘機にIMAXカメラを搭載して撮影しただけあって、臨場感がこの上なく感じられる映像に仕上がっている。1.90:1のワイドスクリーンの大画面一杯に戦闘機の空中戦をコクピット内から撮った映像が映し出され、驚異的な没入感を感じさせる様になっている。音響もサラウンド感が強く、IMAX独自の豪快なサウンドが映像の没入感を高める効果を発揮している。
1986年の「トップガン」の続編ではあるが、「トップガン」を見ていなくても、物語上で最低限の説明はしているので、この「トップガン マーヴェリック」単独で見ても十分に楽しめる作品である。おすすめの映画だと思う。
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