レビューの詳細は、Mr.ノーバディ(4K UHD/iTunes Movies)/Apple TVで観た映画のレビューを参照のこと。2021年という新型コロナウイルス感染拡大下の中で劇場公開され、低予算アクション映画ながら割と高い評価を得て、スマッシュヒットを記録した作品が、この「Mr.ノーバディ」である。登場キャラにいわゆるスター俳優はおらず、主役のハッチという中年親父が情けない状況に置かれているのを最初に描いているので、途中から切れて暴走する姿には、拍手喝采を送りたくなるような作品になっている。ハッチは実はどうも特殊組織の一員だったらしいのだが、その組織が何かは最後まで明かされない。「お前は誰だ?」と聞かれても「誰でもない(Nobody)」と答えるしかないキャラなので、謎のキャラクターである。ハッチどころかハッチの父も弟もクライマックスではハッチに加勢して戦ってしまうので、「どういう家族だよ?」と呆気に取られること請け合いの映画である。話は、平凡で家族から愛想を尽かされているハッチが、ある日バスの中でチンピラ相手に切れてチンピラを死傷させてしまい、ロシアン・マフィアと関わりを持った為にロシアン・マフィアと死闘を繰り広げるというアクション映画ではあるが、意表をついた作品なので、その意外性が楽しめること請け合いの映画である。映像は4K/DOLBY VISIONではあるが、マスターデータが2Kなのでアップスケール4Kになり、解像度は2Kでしかない。DOLBY VISIONの色彩も派手ではなく、自然な色調をしている。音響はDOLBY ATMOSサウンドトラックではあるが、思ったほど三次元サラウンド効果は出ていないように感じる。派手なアクションシーンにポップな歌を流す演出が取られている為に、銃撃シーンなどが空間に広がる感覚が薄いのである。それでも、出したお金分の元は取れる映画にはなっていると思う。
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