レビューの詳細は、ディヴォーション:マイ・ベスト・ウイングマン(DOLBY VISION/Netflix)/Apple TVで観た映画のレビューを参照のこと。この作品、2022年末にアメリカで劇場公開されていて、Rotten Tomatoesで割と高評価を受けていたので気になっていたのであるが、年が明けてNetflixのカタログを探していたところ、なぜか日本では劇場公開されずにNetflixオリジナル映画として独占配信されているのを知って、「いつか見よう」と思っていた作品である。今日、「上映時間が短い作品ないかな」と思ってNetflixのカタログを見ていたところ、この作品が上映時間が100分と書いてあったので、「では見てみるか」と思い、視聴したのである。しかし、実はNetflixのメニュー画面に書いてあった上映時間100分は間違いで、139分も上映時間はあった。本当は上映時間148分ある「西部戦線異常なし」を見ようかなと思っていたが長いのでこの「ディヴォーション」の方にしたら、結局視聴時間に大して差がなく、これならば「西部戦線異常なし」を見てもよかったかなと思ったぐらいである。
とはいえ、この「ディヴォーション」がつまらない作品かというとそうでもなく、まあ水準並みの出来の映画だったと思う。1950年の朝鮮戦争を時代背景に、アメリカ海軍初の黒人パイロットであるジェシーと、彼とコンビを組む白人パイロットのトムとの友情と信頼を描いた本作は、実話がベースということもあって、事実は小説より奇なりな展開を見せてくれる。
1950年という時代背景はジェシーにとって辛い差別の日々ではなかったのか、と冒頭のからしばらくのシーンで思っていたのであるが、やはり彼が黒人であるが故に差別を受けていたという話を中盤ぐらいから明らかにするところで、納得のいく思いである。逆にジェシーとコンビを組む白人のトムが差別をせずにジェシーと友情を築くという展開は、不思議なものを見た気がする。トムが人種差別をしない性格なのは、当時としては珍しいのではないかと思ったものである。
映像はNetflixオリジナル映画なので、4K/DOLBY VISIONで高精細な映像を提供している。しかし、DOLBY VISIONによる色彩管理は、意外とフィルム調の赤みがかった色調で、少なくともカラフルな感じではない。戦闘シーンは銀残しを思わせるトーンで、臨場感を上げている。
音響もDOLBY ATMOSで提供されていて、戦闘機や砲撃シーンなどで音が縦横無尽に動き回り、音の渦に巻き込まれたかのような感覚が味わえる。ただ、個人的にはトムやジェシーたちパイロットが休息に行ったカンヌで出会ったエリザベス・テイラーのカジノでルーレットが自分の右耳から少し離れたところで玉がコロコロ回るシーンに異様なオブジェクト感を感じたと思っている。
傑作というわけではないが、まあ映画ファン的には見ても損のない出来には仕上がっている映画だとは思う。上映時間が長いことを除けば、面白かったと言えると思う。
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