レビューの詳細は、AD ASTRA(4K UHD Blu-ray)/アド・アストラ/輸入盤DVDで観た映画のレビューを参照のこと。ブラッド・ピット主演のSFドラマだと思って前から気になっていたのだが、今一つ見る気がしなくて延ばし延ばしになっていたこの映画、AVアンプと5.1.2chスピーカーで視聴できる環境が復活したことで、音量テストのつもりで今日鑑賞した。もちろん、事前に輸入盤4K UHD Blu-rayではあるものの、日本語字幕、日本語吹き替えが入っているという情報も得てはいたので、気軽に見られる、という意識もあった。
しかし、見た感想としては期待に反して、ブラッド・ピット扮する主人公ロイの心の葛藤とその解決法をずっと物語全編を通して描く内容になっていて、SFの要素はその副次的な内容だったので、しんみりしてしまった。ロイの人生観をずっと見せられたので、人間ドラマだな、と見方を変えざるを得なかった。
SF的要素としては、近未来の設定になっているので、割と現実的な宇宙に進出した人類とその機器類たちという設定がリアルで、現実感がよく出ているとは思う。でも、それが物語に寄与しているのかというと、あまりしていないような気はする。あくまでブラッド・ピットの一人主役状態での映画になっていて、他のキャラの描き方が浅いというのが、印象深い。
映像は4K/HDR10での収録で、デジタルマスターが2Kなので、アップスケール4Kでの収録になっている。デジタルマスターが2Kなので、高精細な映像というわけではないが、テレビの2Kよりはマスターの方が少し画素数が多いので、割とクリアに見える。画面は時折意図的なノイズが乗っている感じはする。HDR10による色彩管理は素晴らしく、星々の輝きや宇宙船内の機器類の色合いなどで臨場感抜群な表現をしている。
音響はDOLBY ATMOSで収録されているが、リアルな描写を目指したためか、思ったほどオブジェクトが動く描写はない。宇宙空間を推進する宇宙船は本当に音を発しないので、オブジェクトの活躍する場がないのである。もちろん、音が出るシーンではイマーシヴなサラウンドが展開されるが、シーン的には結構少ない。逆にBGMによる空間表現は多く、これらの音楽の広がり感は感じられるところはある。
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