あらすじ
エンタープライズはバルカン星系に来ていた。クルーたちは自由時間を与えられていたが、スポックはなかなか会えない婚約者のトゥプリングと会い、婚約式を執り行う約束をさせられる。バルカンの婚約式は厳格で、トゥプリングの母がスポックのことを嫌っていた。スポックがバルカンと地球人のハーフだからである。
その頃、消滅したケルコブ人の遺跡を調査する任務がエンタープライズに発生し、スポックとチャペルが遺跡調査のためにシャトルに乗り込む。スポックとチャペルの関係も微妙になっていて、友達以上恋人未満の状態でギクシャクしていた。
ケルコブ人の遺跡にシャトルが近づいた時、重力の渦が発生してシャトルの制御が不能になる。シャトルは渦の中に入り込み、スポックとチャペルは気を失う。
二人は気がついた時にはエンタープライズに収容されていた。チャペルは無事だったのだが、スポックはケルコブ人によってバルカン人の遺伝子情報を消されてしまい、純粋な地球人になってしまった。
純粋な地球人になってしまったスポックは、感情を制御することなく他のクルーとの交流を楽しんでいたが、トゥプリングとの婚約式を執行そうにもなかった。婚約式を延期しようと提案するスポックだったが、トゥプリングの母が断固として断り、地球人の感情のまま、スポックはトゥプリングとの婚約式に挑まなくてはいけなくなる。
地球人になったスポックの元に地球人の母であるアマンダがやってきて、どう感情を制御するのかを伝授する。そして、感情をギリギリまで押し殺してスポックはトゥプリングとの婚約式をエンタープライズ艦内でパイク艦長も立ち合いの元、進めることになる。
一方、バルカン人の遺伝子が消えたことに罪悪感を感じていたチャペルは、必死の思いでスポックを元のバルカン人と地球人のハーフに戻そうと研究する。シャトルを調査していたウーナとラアンは、ケルコブ人との通信リングを見つけ、異次元にいるケルコブ人とのコンタクトを試みるが、ケルコブ人はチャペルの遺伝子を元にスポックの遺伝子を修正した、と語ったきり、更新を絶ってしまう。
チャペルは、ついにオルテガスとウフーラを巻き込み、シャトルで再度重力の渦の中に行き、ケルコブ人とコンタクトをしてスポックの遺伝子を元に戻すべく取り組むが、ケルコブ人はなかなか誤りを認めず、チャペルはスポックに対する想いをケルコブ人に打ち明ける羽目になる。
感想
今回のエピソードは、地球人になってしまったスポックの悪戦苦闘ぶりと、その事実を知ったチャペルが元のスポックに戻そうと奮戦する物語であり、この二人の友達以上恋人未満の関係が一歩進んでいく物語でもある。
それとともに、地球人という種族の特性や素晴らしさを描いた意欲作でもある。それをバルカン人という異星人の風習や性格をベースに対比させることで、より際立ってくるように仕向けられている。
エピソード的にはコメディ調ではある。深刻な話にはなっていない。地球人の遺伝子だけになってしまったスポックを見るのは、結構面白い。演じるイーサン・ペックが普段のスポックの沈着冷静な姿だけでなく、地球人らしく感情豊かに演じているのは、俳優さんの演技力はすごいなと、改めて実感する。
それでいて、バルカンと地球人の違いを浮き彫りにさせ、なおかつシーズン1から微妙な関係だったスポックとチャペルの二人を進展させる展開になったのは、少し安心できる。
その分、シーズン1から婚約者として登場してきたトゥプリングとの間に溝ができ、スポックとトゥプリングが距離を置くようになったのは、ある意味残念ではあるが、地球人の僕から見ると、スポックとチャペルの淡い恋の行方の方が気になるので、納得のいく出来である。
コメント