映画「シラート」(Dolby Atmos/丸の内ピカデリー)を見ての感想

6月5日に公開されるなり一部で話題になっていて、アート系映画としては驚異的な売り上げを記録しているのが、この「シラート」である。全国58館で上映されるも好評のため、一部劇場で期間限定上映だったDolby Atmos上映が上映期間が延びる状況になっている。

この映画は今年のアカデミー賞で2部門にノミネートされ、特に音響賞でノミネートされたのが話題になっている。音響を担当したのが女性だけだということで話題になっている。僕がこの映画の話題に接したのも、音響を女性が担当したという話と、一部劇場のみで展開されたDolby Atmosのサラウンドが凄まじい、ということから注目するようになり、たまたま今日、会社を年休で休んだので、東京、神奈川で唯一Dolby Atmosで上映される丸の内ピカデリーのDolby Cinemaで映画を見てきた。ちなみに、ホームシアターでも映画を見たくて、イギリス版4K UHD Blu-rayも注文済みである。

話は、砂漠で開催されるレイブパーティーに参加すると言って行方不明になった娘を探す父とその息子、つまり娘の弟がレイブパーティーに参加している人たちと接して、彼らの後をついていくロードムービーである。

しかし、単なるロードムービーではないのが、この映画の肝である。途中から話はロードムービーではなくなり、人生についての話に変わってしまうのである。それは登場人物の生死に関わる展開が訪れるからであるが、レイブパーティーが生に関することだとすると、物語で描かれる戦争についてのバックグラウンドは死についてであるし、次第にそれが登場人物に影響を及ぼしていくようになっている。

マスメディアが話題にしていたDolby Atmosのサラウンドであるが、驚異的な音場感である。レイブパーティーのシーンも自分がダンスパーティーに参加している感覚を覚える没入感を感じるし、その後の展開も絶えず自分の周囲で環境音やレイブの音楽が鳴り響いていて、かつ低音がブーストされているので、映画の映像の中にはまりこんでしまう。このサラウンドを自宅で再現できるかというと、近所に迷惑になりそうなので、難しいかなという気はしないでもないが、4K UHD Blu-rayが届いた後、ホームシアターででも見直してみたいと思わせるサウンドデザインである。

映像はDolby Cinema対応映画館での上映ではあるが、Dolby Visionは非対応である。SDRの色調になるし、撮影素材は16mmフィルムなので、画質は荒い。ただ、作品の意図からすると荒い画質がストーリーを物語っていて、映画に引き込まれる感覚は覚える。

後半の展開は予想外のことが多い上に、ラストが突き放したような終わり方をしているので、印象深い作品に仕上がっている。スペイン映画なので、登場人物はスペイン語を話しているからイギリス版4K UHD Blu-rayをホームシアターで見ると、スペイン語音声+英語字幕で苦労しそうである。劇場では日本語字幕がついているので、その辺はわかりやすい。

久しぶりに劇場でIMAXではない映画を見たが、満足度が高くなっている。この映画はDolby Atmosのサラウンドが肝なので、残り1週間、できればDolby Atmos対応の劇場で見てほしい。家庭用ビデオディスクや配信でDolby Atmosが提供されるとは思えないので。

タイトルとURLをコピーしました