佐野元春 セルフカバーアルバム「月と専制君主」を聞いて

最初にこのアルバムの制作を知ったのは確かデビュー30周年記念キックオフイベント、「アンジェリーナの日」の時だったと思う。聞いた当初は、あまり関心がわかなかった。というより新作はどうしたんだ、という感じがあったと思う。それからはや9か月、ようやく完成したのがアルバム「月と専制君主」である。2度聞いてみて、驚いたことがある。セルフカバーアルバムと銘打っているが、新作と同じテンションが漂っているのである。決して元春が安易な気持ちでこの作品を作ったのではないことが聞いていてわかってくる作品である。アルバムに統一感が感じられて、心地よい。佐野元春のインタビューによれば、これは「不在についてのアルバム」だという事だが、この不在とは、君にとっての愛する人だとか、神の不在だとか、そういった意味にとって良いようである。とにかくアレンジが大幅に変わり、歌詞の一部は変更されていて、原曲を全く意識しない感じで新曲に聞こえる。元春も当初は気軽なつもりで作っていたのだが途中から本気モードになったと発言しているように、アルバムの完成度は高い。まだ特典映像のレコーディングドキュメントは見ていないが、こちらも興味津々である。とにかく佐野元春を知らない若いファンにも聞いてほしい一品である。

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